中国投資、ブラックストーンで6割の損失 中国で好調のブラックストーンとは対照的

【大紀元日本8月16日】米投資会社ブラックストーンのニューヨーク証券取引所での8月6日の終値は、1株=11.33ドルに下落。3年前に30億ドルを出資してブラックストーンの株を約10%取得した中国投資有限責任公司(CIC)にとって、18億2800万ドルの損失となった。一方、中国での投資を拡大しているブラックストーンは、この3年間で約100%の利回りを享受。全く対照的な2社の損得は、中国で話題となり、中国国内のインターネット上で大きな反響を呼んでいる。

設立してからはじめての海外投資案件として、中国政府系ファンド(SWF)の中国投資有限責任公司(CIC)は2007年5月、1株=29.605ドルでブラックストーン・グループの無議決権株式30億ドルを取得した。ロックアップ(※)期間は4年。

しかし、リーマンショック後の世界同時株安や金融危機などで、ブラックストーンの株価は急落した。8月6日のブラックストーン終値の1株=11.33ドルで試算すれば、中国投資の含み損は約18億2800万ドルとなり、損失幅は61.7%に達した。

一方、ブラックストーンは中国投資との資本提携関係で、2007年9月から中国本土で相次いで大型投資を展開してきた。同年、ブラックストーンは中国国営企業の中国化工集団公司傘下の子会社である中国藍星集団に6億ドルを出資し、同社の20%の株式を取得した。その後、中国では初めての不動産投資として、ブラックストーンは2008年6月、上海市中心部にある商業用ビルの「上海長寿商業広場」を11億元で購入した。

国内不動産市場調査会社である「易居」と「佑威」両社の統計によると、2009年上海不動産価格が平均で50%上昇し、一部の不動産価格の上昇率が120%に達したため、ブラックストーンが購入した商業用ビルは、最少5.5億元、最大13.2億元の収益を得ているという。

2009年8月、上海浦東で同社は、はじめての地域的人民元投資ファンド、「百仕通中華発展投資基金」を設立。募集資金は50億元で、主に上海および周辺の長江デルタ経済圏に投資するという。

さらに、ブラックストーンは今年4月、他の投資ファンドと共同で、中国最大の農産品市場オペレーターの一つである「中国寿光農産品物流園」に6億ドルを出資し30%の株式を取得した。寿光農産品物流園は7月に、香港株式市場への新規上場を果たし、2010年の売上高は100億元に達するとの見通しで、今後数年にわたり年間20%の成長率を保持できるだろうと見込まれている。8月6日付「華夏時報」によると、寿光物流園の30%の株式を保持するブラックストーンなどの投資ファンドは、同物流園の好景気のおかげで、少なくとも毎年20%の収益を得られるという。

また、華夏時報によると、過去3年間、ブラックストーンは中国での投資案件から平均して100%の収益率を獲得しているという。

ネットユーザーからの反応

外国の企業に投資する政府系投資ファンドが大損しているのに対して、その外国企業が中国で大儲けしていることについて、中国の多くのネットユーザーから不満の声が上がっている。「なぜ、外国人と商売するといつも損をし、逆に国内で商売すると儲かるのかがよく分からない」「国営企業が絶えず海外に資金を流し、外国企業と協力して国民を搾取する行為は、世界の他の国を見ても、極めてまれだ」などの批判が相次いでいる。

※ロックアップ:ベンチャーキャピタルなどの公開前の会社の株主や大株主が、株式が公開された後の一定の期間、市場で持ち株を売却しないよう公開前に契約を交わす制度

(翻訳編集・張哲)
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