中国:日本国債の買い越し急増 日本へのけん制が目的か

【大紀元日本8月20日】日本財務省が8月9日に発表した統計によると、6月単月の中国の日本国債の買越額は4564億円に達し、今年1~6月までの日本国債買越総額は、1兆7300億円となった。過去最高額だった2005年総額(約2538億円)の約7倍に相当する。中国の日本国債購入額の急増が、円高の主因の一つとみられる。

現在、中国の保有する日本国債が急増している理由として、米ドルやユーロなど主要通貨が急落している現状の中で、外貨準備運用の多様化およびリスク分散などが挙げられる。中国政府当局もこのように発言してきた。

しかし、米国債と比べると日本国債の収益率は低く、日本国債への投資増加は中国に高い収益をもたらしていない。10年物国債で比較すると、米国債の年間利回りが3%以上であるのに対して、日本国債は1.1%に留まっている。また、米国債やユーロ圏の諸国の債券市場と比較しても、日本国債は二次市場での流通性が低いのが事実だ。日本国債を保有する外国人投資家が全体の4.6%(今年3月末時点)しか占めていない理由はこの利回りの低さにある。

また、日本の国内総生産に占める公的債務比率は、先進国の中で最も高く、中国当局が言い続けてきた「リスク分散」の目的は果たしていないのではないか、と中国国内の一部のエコノミストは見解する。国際通貨基金(IMF)によると、日本の公的債務比率は2007年のGDP比で188%だったが、2009年には218%に拡大した。IMFは、2030年までに日本の公的債務のGDP比は250%に達するとの見通しを示している。公的債務のGDP比に関しては、60%が国際的な安全ラインと見なされている。

7月12日付「中国経営網」によると、経済評論家の時寒氷氏は、「現在日本は高齢化問題に直面しており、国内貯蓄率が低下し、日本国民の債権消化能力も低下している。外国投資家からの融資がなければ、日本国債は直ちに危険な投資対象となる」と指摘した。

日本財務省は8月10日、6月末時点の国債や借入金、政府短期証券を含む「国の借金」が904兆772億円に上り、過去最高額を更新したと発表した。景気対策のため大量の国債発行が続いたことや、景気低迷で税収が減少したことが主な原因だという。日本政府は2011年度末に「国の借金」が1千兆円台に達するとの見通しを示している。

金融・経済評論家の余豊慧氏も、7月8日付「毎日経済新聞」において、現在日本の公的債務が急増しており、財政破たんリスクに関して日本国内だけではなくその他の国も懸念している中で、中国が逆に大幅に日本国債の保有額を急増している事実に伴うリスクを考慮する必要があると忠告している。

一方、在米の政治評論家である陳破空氏は、中国政府当局が日本国債の保有額を増加することによって、日本政府に対して政治的発言力を高めようとするのが目的だという見解を示している。 米国債の保有額で世界1位となった中国は、米国債の大量保有のおかげで、人民元切り上げなどの問題で米国が中国に対して強硬手段に出ないようにけん制してきた。これと同様に、日本政府に対して経済・金融面で力でけん制しようとしている、と陳氏は指摘した。

(翻訳編集・張哲)
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