中国不動産価格はピーク 今後5年のベア相場 大都市5割も急落=著名エコノミスト
【大紀元日本10月8日】「上海ガニが旬だ。調理する前にまず冷たい水に入れる。湖に戻ったように快適に感じるカニだが、これから火をつけられるのだ……。今中国の資産投資家はまさにその冷たい水にいる上海ガニだ」。上海在住の著名エコノミスト・謝国忠氏が、9月26日付ブルームバーグへの英字投稿記事で、このように中国の不動産市場について描いている。
同記事で同氏は、「みなさんに正式に知らせるが、中国不動産市場のバブルは間もなく弾けて、ベア相場(下落相場)が今後5年間は続く。大都市の平均不動産価格は半分以下に急落する」と大胆に予測した。バブルが最も深刻な浙江省などの一部都市では、不動産価格は8割以上下落するだろうとしている。
また、「2012年に市場の人民元切り上げ観測が後退するとともに巨額なホットマネーが流出することだろう。これにより不動産市場の下落基調が一気に加速するだろう」と示した。
かつて米モルガン・スタンレーのアジア担当エコノミストを務め、現在上海で投資コンサルティング会社を経営する同氏は最近、中国の不動産価格は今年ですでにピークを迎え、これからじりじりと下落基調に転じると、頻繁に発言している。先月18日上海銀行の資産投資家報告会で、香港と上海など中国の大都市での不動産価格はすでにピークを迎えたと発言、投資家にこれから購入するのではなく、投売り時期だと勧めた。
同様な発言は、9月23日「財新網」のコラム記事でも発している。「人民元の過小評価より、難題は危険な状況にある不動産市場だ」と題する記事で、「中国には多くの課題があるが、人民元の過小評価より、中国のマクロな課題は、現在危険な状況にある不動産市場だ」と警告している。不動産市場バブルが弾ければ、一部の都市の不動産価格は最大9割下落するだろうとの見通しを示した。
9月23日の記事で謝氏は、現在人民元は過小評価ではなく、逆に過大評価されているとし、人民元の上昇圧力は、米国政府が人民元問題で中国に対して何らかの措置を実施する可能性が高いとの金融市場の観測に因るものだと示した。「約10年間で、中国のマネーサプライ(M1+M2+M0)は約4.5倍急増した。一般的に、マネーサプライが長期間にわたって急増した場合、ほとんどの実体経済の通貨が下落する傾向がある。もし、人民元切り上げ観測が後退すれば、巨額な国際投資資金(ホットマネー)の流出が加速するだろう」と指摘している。
同氏の観点によると、人民元下落に伴うホットマネーの流出の結果、不動産価格も下落する。「中国の不動産価格はすでに持続可能な水準を100%超えている。今後中国の利上げ実施や人民元切り上げ観測の後退で、ホットマネーが急速に流出することを考えると、不動産価格が大幅に下落する可能性が高い。不動産バブルが弾ければ、一部の省や市の不動産価格が7割~9割急落する」と述べた。
さらに同氏は、来年、不動産市場の急落で、中国経済は大きな打撃を受け、今後10年内に国内の消費やインフラ建設及び輸出の年間伸び率は7%~8%にとどまるとの見通しを示した。
また、人民元切り上げ問題について、「米国政府が再三、人民元が過小評価されていると非難してきたが、しかし、大きな措置が見られないため市場はすでに無関心になっている。人民元NDF(ノンデリバラブル・フォワード)市場(※)は、来年人民元の大幅な切り上げはないと考えている」と同記事で加えた。
※NDF(ノンデリバラブル・フォワード)市場とは、先渡取引または先物取引のうち、実物や実際の外貨の受渡しを行うのではなく、両当事者が取引時に決定したNDF価格と決済期日における公表レートとの差を元本に乗じた金額を米ドルなどで決済するもの。人民元など当該国の外国為替規制により取扱いが制限されており、流動性の低い通貨に適用されている。