尖閣流出ビデオ 中国の一部でも流れる 中国閲覧者「政府は国民に嘘をついた」

【大紀元日本11月5日】沖縄県・尖閣諸島沖で9月に起きた中国漁船衝突事件で、衝突事件の経過を記録したとみられる映像が4日夜、何者かにより動画サイト「ユーチューブ(YouTube)」で公開された。衝突場面や巡視船から上がる黒煙が映る44分の映像は瞬く間に大量に複製され、これまでの閲覧者数は数十万に上る。また、中国の一部でも映像が流れており、閲覧者は「政府は国民に嘘を付いた」と政府への不信の声を上げている。

沖縄海上保安庁の乗船員が撮影したとみられるこの映像について、政府は5日未明から真偽の確認や流出ルートについて調査するとともに緊急対応を進めている。海上保安庁の幹部は「海上保安庁が撮影した映像が元になっていることは間違いない」と発言しており、同日午後の記者会見でも、前原誠司外相は「恐らく海上保安庁が撮ったものだろう」とコメントした。

同映像は、「sengoku38」というユーザーにより投稿され、一度は削除されたものの、その後再び多くの別のユーザーにより複製され、投稿された。 

限定された政府機関で厳密に保管されているはずの映像の流出問題に対して、政府の情報管理体制に対して疑問の声が上がっている。一方で日中関係への配慮から「国家機密」として映像の公開を拒否してきた政府の外交姿勢に反発する内部関係者による告発であるとの見方もあり、ネット利用者や民間から、映像をリークした者への支持の声も多く出ている。

当局はコメント削除 中国のビデオ閲覧者「政府は国民に嘘をついた」

一方、同映像は中国の一部のサイトにも流されており、政府系メディアやポータルサイトも映像の流出を報道した。中国共産党の機関紙「人民日報」や政府通信社の中国新聞社は、日本メディアの報道として海上保安庁・鈴木長官はすでに映像は保安庁が撮影したものであると確認してあり、管首相は関係部門に対して流出原因の徹底調査を命じていると報道している。報道は事実関係に留まり、コメントなどは加えていない。

また、ポータルサイトで掲載された関連報道についてネット利用者の書き込みから見ると、映像についての反応は日本国内ほど多くない。「日本が故意に流したもの」「真偽はともかく、釣魚島はもともと中国領土であり、中国の漁船は日本の巡視船をぶつかったとしても間違ってはいない」など、映像を見る前との認識に変化はないと思われる発言が残っている。

しかし、「日本船に中国船がぶつかっただけと発言したのに、削除されてしまった。どういうことなのか」などの発言から、当局が関連事件に対してコメント削除を行っていることが窺える。また、「漁船衝突事件が起きたばかりの時、政府は日本船が中国船に追突したと報道したが、その後、双方がぶつかり合いなどの言い方に切り替えた。そして今の映像をみてわかった。わが政府は最初から国民に嘘をついたのだ」と、政府への不信も見られた。

今回の映像流出問題について、今のところ中国外交部からの発表はないが、11月1日、日本政府が国会に映像公表したことについて、外交部の馬朝旭報道官は記者会見で「たとえ映像が公開されても日本側が中国漁船を拘留したことの違法性を弁解できない」と答えた。

(趙莫迦 Zhao Mojia)
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