米国務省年次報告書 中国での法輪功迫害に重大関心

【大紀元日本11月21日】米国国務省は17日、世界各国の宗教の自由をめぐる年次報告書を公表した。中国やミャンマー、イラン、北朝鮮など8つの国家を「特別な関心を払うべき国家」とし、これらの国での宗教自由の現状への懸念を表明した。中国については、気功「法輪功」に対する迫害を重点的に取り上げている。

1999年7月以来の当局による弾圧では、10万人以上が思想改造の労働キャンプに送られ、法輪功の学習者を代理する弁護士への迫害、重大行事やイベントの際の学習者への拘束を強め、法輪功学習者を監視して当局に告発する市民には奨励金を与えるなど、数々の迫害事実が同報告書で言及されている。

10万人の学習者に強制労働処分

同報告書によると、中国は憲法で国民は信教の自由を享受しているとしながら、その自由は当局が認可した「愛国宗教協会」の監督を受けている信教活動のみにしている。法輪功を含めた一部のグループは禁止されているほか、「愛国宗教協会」に属しないプロテスタントの家庭教会や、バチカンに忠実なカトリック教徒が、公な活動を認められていない。一部は「非合法な宗教活動」「社会安定を撹乱する」とされ、迫害を受けている。

報告書では法輪功が特別に取り上げられており、中国政府による1999年の法輪功禁止以前は、法輪功学習者の数は七千万人に上ったとしている。

「信教自由の状況」に関するセクションでは、中国の司法と政策枠に関して、「中央政府は一部の宗教と精神グループを禁止し、その信者や支持者を監禁することもある。禁止されるグループに対して『邪教』と定めている」「しかし、邪教の定義、決定の基準、定義を疑問視する際の手続きについては、全く説明がなされていない」と記述されている。このような状況で、法輪功や一部の気功およびプロテスタントのキリスト教グループを弾圧していると説明している。また、労働法では信教のために労働者を雇用上、偏見視してはいけないと規定しているにもかかわらず、政府が国営や外国企業の企業主に法輪功学習者の雇用を規制しているケースは広く報告されているという。

昨年同様、報告書は法輪功迫害に関する最新の証拠を収集している。1999年以来、少なくとも6千人の法輪功学習者が投獄され、10万人を超える法輪功学習者が強制労働処分を受けたことを指摘する。

代理の弁護士にも迫害

報告書はさらに、法輪功学習者を弁護した何人かの弁護士が受けた迫害の例証を挙げている。かつて法輪功学習者および家庭教会のキリスト教徒を弁護した高智晟弁護士が突然失踪し所在不明となっており、しかも2007年の監禁期間に拷問を受けていることも述べている。

宗教の自由および法輪功の案件を担当した北京の弁護士数名は、弁護士資格を剥奪された。黎雄兵、江天勇の名前も含まれる。2010年5月、北京司法局は起訴された法輪功学習者の弁護人となった唐吉田、劉威の弁護士資格を剥奪した。(敬称略)

奨励金で学習者告発を促す

報告書では、法輪功学習者は外国記者および官員との面会を禁止されているので、法輪功学習者の迫害状況の確認は極めて困難であるとも記述されている。非政府組織および国際メディアが得た消息によれば、大きな行事やイベントが行われる前後に、法輪功学習者の収監人数は増加する。

ある地域では、一部の社会団体が法輪功学習者を告発するよう指示を受けた。法輪功学習者を告発した者には金銭報償を与えられる。

個々の迫害のケース

報告書は多くの法輪功学習者が迫害を受けた情況を数多く列挙している。

法輪功学習者の家族からの報告によると、国家安全局は法輪功学習者を精神病院に入れるよう命令し、控訴の手段も与えない。精神病院に収監された法輪功学習者は薬物注射を強行され、電気ショックによる拷問を受けていた。

2010年6月、収監された法輪功学習者の曹俊萍さんの夫は、犯人蔵匿の罪で起訴された。彼が妻子を援助したからだという。当局は一カ月の重労働を強制し、警察の公職を免職し、さらに圧力をかけて妻子と離婚させた。

2010年1月、当局は法輪功資料が家で見つかったという理由で、前上海大学講師・郭小軍さんを収監した。法輪功ウエブサイトの情報によれば、郭さんは寶山強制労働収容所に収監された。

2009年、山東省濟南の張興武さんは七年監禁の判決を受けた。家族が国際メディアに告げたことへの報復として、国家安全局は張興武さんの弁護士が審判に参加することを阻止した。さらに審判期間、警察は張の親戚を軟禁した。張興武さんの娘によると、父親は牢房を離れることを許されず、厳密な監視を受けているという。

2010年3月、香港特別行政区の李耀華さんと娘の張軼博さんが法輪功修練を理由にそれぞれ三年半および一年半の徒刑に処された。報導によれば、彼らは拘留期間に拷問を受けているという。

文化団体・神韻芸術団も迫害

報告書には中国当局が中国の伝統文化を広める神韻芸術団(一部団員は法輪功学習者)を迫害した事実も記述されている。外交手段を通した一部の国家政府に圧力をかけ、公演会場を解約させようと謀り、公演を延期せざるを得なくなったなどの妨害を挙げている。

一例として、2010年2月、神韻芸術団所属の演奏家の夫、江峰さんが失踪したことが挙げられている。家族には逮捕か判決かの通知は一切ない。

また、香港政府が「現地就業者保護」を理由に、6名の神韻芸術団の製作技術人員へのビザ発給を拒否。特殊技能をもった芸術団製作の技術者に代わる人材を現地で調達することは不可能だという説明にもかかわらず、香港政府のビザ発給拒否により、主催者は最終的に公演を取り消さざるを得ず、現在、司法審査で争っているという例も挙げた。

報告は、神韻公演は音楽および舞踏を通して中国文化を展現するものだが、中国政府はこれを法輪功として対応していると述べている。

「地球上、かつてない邪惡」

米国国務省による同報告書の発表と時を同じくして、中国大陸の広州ではアジア競技大会が挙行されている。中国での法輪功迫害の実情を告発するサイト「明慧ネット」によると、中共当局は大会の「治安維持」を口実に再び法輪功迫害を激化させている。広州市、深圳市、珠海デルタおよび近隣地区の法輪功学習者を大量に逮捕し、当地の洗脳班に送り込んだり、法輪功学習者を脅迫し、他の地域に強制移動させたり、元の登録住所に強制送還するなどが、現地の公安局により行われた。

人権組織の情報センターが報告した事実として、法輪功が中国大陸で受けている迫害は収集された情報よりはるかに大規模であると言う。明慧網の情報では、1999年7月20日に、中共当局は法輪功を弾圧して以来、現時点で姓名が確認された迫害致死事案はすでに3、400人を超えており、專門家の分析によれば、実際の致死数はこれどころではないという。

2006年7月6日、厳密かつ広範囲に及ぶ調查研究の後、カナダ前アジア太平洋担当大臣デビッド.キルガー氏および国際人権弁護士デビッド・マタス氏が、68頁に及ぶ「中共による法輪功学習者器官略取に関する調査報告」をメディアに公開した。「調査を通じて得られた結論は今も続いている。中共は政府、軍隊、医院全てを利用し、広範囲に、個々に限定されることなく、監禁され、生きている中国法輪功学習者の体から臓器、器官を略取している。その血腥さには身の毛もよだつ」と述べている。

報告の中で中共の生体臓器略取は「地球上、かつてない邪悪」だと指摘している。

(日本語ウェッブ翻訳編集チーム)
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