中共指導部の政策決定パターン、メンバーの利益がカギ=ウィキリークス

【大紀元日本12月8日】内部告発サイト・ウィキリークスが12月4日に公開した米国駐北京大使館09年7月23日付の公電で、中共最高指導部である中共中央政治局の政策決定過程に関わる情報を内部関係者の証言として明らかにした。電文は中国権力の核心・中共中央政治局での政策決定モデルを詳細に紹介し、高層メンバーの経済利益こそが政策決定を左右するカギとの実態を浮き彫りにした。

中央政治局は集団指導

公開された電文によれば、中央政治局は集団指導の色彩を持っているという。その例として挙げられたのは、中国の台湾や北朝鮮に関する核心となる政策が、政治局25名のメンバー全員による共同決定で決まること。また、具体的な事柄については、政治局常務委員9名による決定がなされる。

政治局常務委員の政策決定はまさに大企業のようで、「株」の持ち分の多い方が決定権が大きいとされる。胡錦濤主席の「持ち分」は最多なので、彼の意見が最も影響力を持つことになる。

消息筋はさらに、中央政治局內部では「共同認識議決」が行われていると指摘した。胡主席の意見がもっとも権威を持つが、すべての委員には否決権があるという。ただし、チベット問題など敏感な議題については、胡主席の意見がまかり通り、誰か軟化した態度を示すと、官位さえ奪われかねない。

特権利益の構築がカギ

リークされた電文はさらに、中央政治局メンバーの政商関係が往往にして政策決定のカギとなることを明らかにした。

電文によると、中国共産党は何よりも一つの利益集団の集合体であり、「改革派」の存在はあり得ない。中国の高層指導者が中国経済というケーキを切り分けて、一つの保守的体系を形作っている。彼らにとって、手にした「特権利益」を守り、さらにそれを拡大させていくことが政策決定の原動力となっており、利益が脅かされる改革に対し、彼らは阻害することに徹する。

具体的に、李鵬・前首相とその一族は、電力業界の利益すべてを操り、国家安全を主管する周永康氏は国営石油業との関係が深い。賈慶林氏は北京の不動産業での人脈が厚く、胡錦濤氏の婿は新浪ネットのボス、温家宝氏の妻は中国の宝石業を牛耳っている。

さらに、中共高層は不動産ディベロッパーや企業トップなどの経済界人士と緊密な連携を保ち、また、これらの経済界人士には公職を持っているものもいる。地方ではこの傾向がさらに根強いという。

これらの利益ネットワークは政策に明確な影響を与える。特に地方では、官職をお金で手に入れた役人が多いため、彼らはその投資を直ちに回収しようとしている。彼らは総じて成長政策を支持し、自らの利益を損なう可能性のある改革努力に反対する。また、彼らは、土地転売の内幕などが暴かれることを恐れ、メディアの透明化に総じて反対している。インフレや弱者グループに目を向け解決を提唱する意見は、「成長第一」を唱える意見に常に負ける所以である。

消息筋はさらに、指導者層の政治的特徵は、任期終了後の自分と家族の利益・安全を確保することにあるとしている。そのため、現任指導者は丹精を込めて自分に忠実な部下を育て、退位後も、これらの部下が自分たちの利益を守ってくれることを目論んでいる。

「ポスト胡」とされる習近平氏は腰が低く敵を作らないようにしていることが買われて、江澤民と曾慶紅に抜擢されたことは、中共内部のごく自然な動きとみられる。習氏もまた、江澤民が攻撃の対象にならないようにし、江の汚職まみれの息子が逮捕されないようにしている。

太子党と掌櫃(利権)党

電文はさらに、中共の高層指導者序列は、「太子」血統或いは「掌櫃(利権)」経歴で決まることが多いと明かした。中国の「太子党」、即ち共産党内に確固たる地位を占めた官員の子女は、自分たちの親は共産主義のために血を流したので、自分たちには中国の指導者として、親の革命成果を守る「権利」があると主張している。

「太子党」のこのような思考方式が、そういった血統を持たない党の構成メンバー、たとえば胡主席や温首相等の団派を背景とする党員との間で、潜在的な衝突を生み出している。「太子党」は彼らを「掌櫃(利権)の息子」と冷やかしている。

(編集・張凛音)
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