困惑する中国女性 増える性差別=ニューヨーク・タイムズ紙

【大紀元日本12月9日】過去30年間で急激な経済発展を遂げた中国。その裏で、女性の地位は思いのほか下がってしまい、激しい競争下で多くの女性が社会における位置づけを見直さざるを得ないという。米ニューヨーク・タイムズ紙は、中国女性の社会的地位についての記事を掲載し、中国における職場や家庭内での性差別、愛人などの横行が、女性の選択余地のなさを反映していると指摘した。

女性の就職状況は厳しい。ChinaHR.comが行ったアンケートによると、6割近い女性が求職中に企業側から性差別を受けたことがあり、この割合は男性求職者をはるかに超えるという。そのほか、求職者が女性の場合は婚姻の有無や年齢、外見などへの要求が厳しく、高学暦の女性も例外ではないという。

某企業のCEOは、次のように話す。「企業は慈善団体ではありません。女性を採用すると、彼女たちは遅かれ早かれ結婚し、子供を産みます。その時、彼女たちを解雇することができない上、他の従業員にも負担をかけます。男女両方ができる仕事なので、当然、男性を選びます」

ここ数年来、就職難の時代に入り、多くの企業は年齢、性別、外見などの応募条件を詳しく明記するようになった。男性に限った募集も多く、面接の際には男性求職者が優先される。専門家は、「不公平な応募条件に対し、多くの女性はなす術もないのです。自分たちを改めて位置づけし直すという窮地に置かれています」と話す。

馮安_qi_(Feng Angel)さんの場合

フランスの商業学院を卒業した馮安_qi_さん(26歳)は、中国語、英語、フランス語、日本語を流ちょうに話す。ずば抜けた語学の才能を持つ彼女は、当然良い仕事に恵まれることを期待していた。しかし、毎回、ある要素が原因でチャンスを逃してしまう。

今年の1月から4月にかけて、馮さんは北京で6つの会社の面接を受けた。初めての仕事は、給料の高い私営企業がいいと思ったのだ。しかし、すべての企業は、彼女が結婚したばかりですぐに子どもを産む可能性があることを挙げ、彼女を雇わなかった。

ニューヨーク・タイムズによると、馮さんが遭遇したことは、中国では日常茶飯事だ。30年前に比べ、若者たちはある程度、自由に自分の道を選ぶことができるようになった。しかし、職場で女性が受けている性差別は、今でも存在する。中国の「婦女権益保障法」では、男女平等を定めているが、多くの企業は女性の育児費用の支給を嫌がり、男性を優先する傾向があるという。

キャリアを積んで成功した女性はたくさんいるが、同時に幸せな家庭を持つ人は、きわめて少ないのだ。

劉燕(Liu Yan)さんの場合

離婚して10歳の娘がいる劉燕さん(42歳)は幅広い人脈を持ち、商業の分野で成功している。

「今の生活はとても自由ですが、『この生活スタイルはあなたにとって、本来歩むべき道ではない』と、いつも家族に叱られます。でも、私は再婚する気はありません」

「中国の男性はメンツを重んじ、彼らの目には、私は強い女で、女らしくないと映るようです。中国では愛人を持つ男性が少なくありません。女性は、まだずっと弱い立場にあります。私は、夫の浮気なんか受け入れられません」

中国女性の困惑

雑誌のコラムニスト、秦麗ウェン(Qin LiWen)さんは、現代女性の気持ちを代弁する。「今のような社会では、常に多くの女性が戸惑いを感じています。私たちは一体、どんな女性になるべきなのでしょうか?強い女になり、仕事に専念し、自分で金持ちになるのか。その代償として、結婚相手を見つけられず、子どもを産まない人生を歩むのか。それとも、結婚して専業主婦になり、主人と子供の世話に明け暮れるのか。または、玉の輿に乗ってBMWを運転する一方で、夫に愛人がいることを我慢しなければならないのか」

 (翻訳編集・李頁)
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