【生活に活きる植物】 23・石榴(ザクロ)

【大紀元日本12月10日】ザクロは西南アジア原産で、日本には8世紀ごろ入ってきたザクロ科落葉高木。観賞用または薬用として栽培され、6月ごろに花をつけます。晩秋には球形の実が熟して裂けます。秋に採れた果皮と根皮を天日乾燥したものを石榴皮(せきりゅうひ)、石榴根皮といい、生薬であるとともに染料としても利用されます。果実は花材や装飾としても好まれ、多汁性の果肉の粒は食用にもなります。

【学名】Punica granatum
【別名】柘榴、若榴、安石榴(中国名)、佐久呂(和名)
【成分】アルカロイド(ペレチエリン、など)、タンニン(プニカラキンなど)

【薬用効果】石榴皮は肝経に働き収斂(しゅうれん)作用があるので、慢性の下痢や出血を止めるために使用します。また、殺虫作用があり、回虫駆除などに用いますが、根皮は毒性が強いため、寄生虫による腹痛にのみ使用されます。一日量は乾燥物3~5gを煎服し、適量を外用に使用します。副作用としては嘔吐、悪心、めまい、下痢を起こすことがあり、注意が必要です。

【食用】果実を生食し、ジュースや料理に使用します。

【余談】品種改良も多く、赤色だけでなく白や黒のザクロ、八重咲、四季咲きの花などの園芸種があります。用途もさまざまあり、木質が硬いため、柱にも利用されます。また、実は銅鏡を磨き、果皮は皮革をなめすのに使用されました。染料としては樹皮をはじめ葉の部分、落花まですべてが利用でき、同じ色合いになります。アルミ、スズ媒染で黄色、鉄媒染で焦げ茶色などに染まります。

日本では、赤い果肉が血を想像させることから凶事を招くと忌み嫌う地域もあります。一方、鬼子母神が手に持ち、種子が多いことから、豊穣や子宝に恵まれる吉木とされる国や地域もあるようです。王冠をイメージする果物として権威の象徴とする国もありました。

柘榴白(写真=大紀元)

柘榴赤(写真=大紀元)

ザクロの実(写真=大紀元)

(ハナビシソウ)