「敏感語」を異体字に変換 検閲をくぐり抜けるソフト「防和諧器」誕生

【大紀元日本12月23日】「和諧社会」- 中国政府が04年に発表した各階層間で調和の取れた社会を目指すというこのスローガンは、皮肉にも、政府にとって都合の悪いものを抹殺する代名詞となっている。形容詞だったこの言葉は今や動詞に変身し、「和諧される」とは表向きの「和諧社会」のために不利な要素が抹消されることを意味する。

そんな中で、書き込みが「和諧されてしまう」ことを回避するソフトウェアがこのほど誕生した。中国のネットユーザーの書き込みやブログに、取締当局が認定した「敏感語」が含まれると削除される。そこで、敏感語を異体字や誤字、ピンインなどに自動変換し、当局の検閲を通過させるソフト、その名も「防和諧器」が開発された。ラジオ自由アジア(RFA)が18日に報道した。

開発者によると、「インターネット発言防和諧器」と名付けられたこのソフトは、1900以上の敏感語データベースにより、文章中の敏感語を自動変換し、ネット上の発言を滞りなく流通させることができる。さらに「まだ知られていない敏感語にも働く検閲フィルター能力を備えている」とし、「インターネット審査がもっとも厳しいとされる百度(バイドゥ)でも適用できる」と開発者は自負している。

RFAの記者が試しに新華ネット17日のトップニュース「温家宝、パキスタン大統領と会見」を同ソフトにかけたところ、なんと460字の当局の記事には28個の敏感語が含まれており、同ソフトにより符号や誤字に変換されていた。さらにRFAコメンテーター・魏京生氏の短文で試したところ、490字の文章に78個の敏感語が換えられていた。

在米中国問題評論家・章天亮氏は、こういったソフトの出現は、中国のインターネットが当局に厳しく「和諧されている」ことを物語るものと述べた。

「大きな事件が起きるたびに、ネット上に書き込まれるコメントは数百ないし千を上回るが、掲示されるものは数十でしかない。残りはどこへ行ってしまったのか?きっと和諧されたに違いない。たとえ『中華人民共和国憲法』をそのまま全部書き込んだとしても、半分は和諧され消されてしまうだろう。これはまるで昔の周の厲王時代のようだ。人々は道路で出会ったらあえて言葉は交わさず、互いに目配せをして交流していた。悲しいことに、現代に至っても、庶民が話したいことはこのようなソフトを通じなければまだ自由に伝えられない」

「防和諧器」の開発者の名前は公表されておらず、インターネット上で自由にダウンロードできる。ソフトの使用にはユーザー名の登録が必要だが、登録しなくても24時間は使えるようになっている。

米国の中国語電子雜誌「大参考」の元編集長・李洪寬氏は、中国政府のネットに対する全面的な和諧は、ネットユーザーの使用にかなりの支障をきたしているため、「防和諧器」は一定の市場が期待できると話した。

現在、中国の各種インターネット・ファイヤーウォールや当局の金盾工程などに一体どれほどの敏感語が設定されているのか誰も知らない。ただ、今回のこの「防和諧器」自身もエサであり、それをダウンロードした人は「和諧される」かもしれない、と当局の底知れぬ和諧法を懸念する声もネット上で飛び交っている。

(編集・張凛音)
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