「米中は影響力を競合」 クリントン米国務長官、危機感あらわに

【大紀元日本3月4日】クリントン米国務長官は2日、上院外交委員会の公聴会で、中国が天然資源を目当てに、オセアニア地域の島嶼国に積極的に接近していると指摘。一方、米国による世界への影響力が低下しかねない事態に陥っている、と危機感を示した。米VOAが伝えた。

2日に開かれた公聴会は2012年の米国の国家安全と外交予算について討論する内容で、共和党議員が米の対外援助予算の大幅な削減を提案した。これに対してクリントン長官は、道義上、米国は盟友を助けるべきだという理由を除いたとしても、戦略的角度からも対外援助は極めて重要であると語った。

クリントン長官は、「われわれは中国と、影響力の大きさを競合している」と明言。「中国はフィジーの独裁政権を支持し、オセアニア地域のすべての島嶼国の指導者を北京に招いて盛大な飲食でもてなしている」と中国の外交手法を批判した上で、「われわれが各国への援助を削減したら、この地域でのリーダーシップはどのように取るのか。中国とイランの挑戦にどのように立ち向かうのか。それでも米国の指導力に変化はないと考えるなら、『それは誤った認識だ』」と語った。

クリントン長官はさらに、米・国際開発庁によるフィジーへの援助再開計画が下院の議案の影響で先延ばしにされていることや、石油大手エクソンモービルが開発するパプアニューギニアの天然ガスに、中国が参入を目論んでいるなどの実例を挙げて、米国が直面している危機的な状況を解説した。

ここのところ、中国に対して批判の声を上げるクリントン発言がかなり頻繁に見受けられる。これらの発言は、1月に胡錦濤主席が訪米した際に発表した「互恵的経済関係」を強調する共同声明とかけ離れる内容となっている。

                      

(翻訳編集・張凛音)

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