南太平洋の島国ソロモン諸島は24日、中国に批判的な外国人ジャーナリストの入国を禁止するなど強硬な姿勢を示した。同国の親中の立場を鮮明にした。
発端は今月1日、ソロモン諸島での中国の影響力を報じた豪メディアABCの番組だった。同国の首相官邸は放送後、外国人記者は「政権転覆を図り、反中感情を広めている」と非難する声明を発表した。
中国との関係に「敬意を払わない」、または中国との関係についての記事で「人種差別」を行った場合、外国人ジャーナリストを追放するという。
1日、ABCの時事番組「フォー・コーナーズ」は、中国国有企業がソロモン諸島の広葉樹林園を購入する計画だと報じた。林園内には深水港と飛行機用の滑走路が備えられている。
報道は、中国側は林園より「港の水深に関心を示している」と報じた。
首相官邸の声明は、「フォー・コーナーズ」」の報道について「誤った情報を意図的に使った」「偏見的な情報を広めた」と非難した。
ABC側は、事実ではないと否定した。
国際ジャーナリスト連盟(IFJ)は26日、ソロモン政府の対応は「報道の自由を侵害した」と批判した。同国政府に対し、外国人ジャーナリストの自由な取材活動を保障するよう呼びかけた。
中国に接近するソロモン諸島
ソロモン諸島は2019年、台湾と断交して中国と国交を樹立した。今年4月、中国と安全保障協定を結び、物議を醸した。
5月、中国の王毅国務委員兼外相はソロモンなど南太平洋の8カ国を歴訪した際、報道関係者らは取材・撮影活動を制限されたと訴えた。
ソロモン議会の外交委員会委員長、ピーター・ケニロレア・ジュニア(Peter Kenilorea Jr.)はボイス・オブ・アメリカ(VOA)の取材に対し、ソガバレ政権は「明らかに全体主義体制の中国を真似したいと考えている」と指摘し、同国では民主主義が後退すると懸念した。
26日、同国は米国沿岸警備隊の巡視船の寄港を拒否したと伝えられた。
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