幸せは周囲に波及する 

【大紀元日本3月29日】「遊ぼう」っていうと「遊ぼう」っていう。「ばか」っていうと「ばか」っていう。「もう遊ばない」っていうと「遊ばない」っていう。

そうして、あとでさみしくなって、「ごめんね」っていうと「ごめんね」っていう。こだまでしょうか、いいえ、だれでも。

以前からテレビで流れていた金子みすゞさんの詩。地震発生後、改めて印象深く感じた。

人の心を表す言葉や表情がそのまま相手に伝わり、良くも悪くも周囲の人にも影響するという考え方に、共感する人は多いだろう。親がいつも心穏やかで幸福感あふれる表情をしていれば、子供も情緒が安定して朗らかな笑顔になる。そうすると、子供の笑顔がまた親を幸福にするという理想的な循環が生まれるのだ。

家庭内だけでなく、組織やグループの中に一人でも幸せな表情の人がいると、その良い影響がさざ波のように周囲へ波及していくことが、米ハーバード大学の研究でも証明されたらしい。「幸せな表情」で生活する隣人がいれば、それだけで自分の幸福度が34パーセントも上がるという研究報告もある。

テレビで伝えられる被災地の方々の悲しみとご苦労は、想像するに余りある。

その中で印象に残った女の子がいた。テレビのインタビューに答える彼女はまだあどけなさの残る高校生くらいの女の子で、地震と津波が襲って以来、両親の行方が分からないという。しかし彼女は、現地の避難所で他の被災者のため、献身的にボランティア活動をしていた。

また町は復興すると思いますか、という記者の質問に、「時間はかかるかもしれないけど、必ず復興させます」と、美しい笑顔を見せて微笑んだ。これほどの苦難の中にあってなお笑顔を絶やさないとは、なんという強さだろう。彼女のような気丈な女性の存在は、被災地の方々の大きな支えとなるに違いない。

私は東京にいる。被災地から遠く離れた私たちにできることは何だろう、と考えてみた。募金、節電、買占めをしないこと。それもあるけれど一番大切なのは、やみくもに不安にならず、周囲の人に優しく接して、いつも笑顔でいることだ。

被災地の復興に少しでも協力するため、私たちは笑顔を絶やさず、日常に多少の不便があってもプラス思考で淡々と受け止めて行こうではないか。

たとえ小さな心がけでも、日本中のプラスの思いが集まれば、必ず被災地の方々へ大きな「幸せ」となって波及する。そしてその思いは、被災地だけでなく、日本全体の復興への原動力になると信じている。

(松本)