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「幸せな老い」へのステップ ― 心と体を満たす暮らし方

編集者注:高齢期は加齢とともに身体機能が徐々に低下し、介護が必要になる場合もあります。その結果、多くの人が自己肯定感の低下を経験し、幸せを感じにくくなっています。実は高齢期の生活には独自の意義とコツがあり、以下のポイントを押さえれば、生活はより充実したものになるでしょう。
 

経験を積み重ね、知識と知恵を高め続ける

長生きに意味があるのなら、それを前向きに受け入れることで豊かな老後を実現できます。身体機能は若い頃ほど優れてはいませんが、高齢者は長年にわたり蓄積してきた知識と経験を持っています。

「流動性知能」、すなわち計算能力、図形処理、直観力など若者が得意とする能力は、年齢とともに衰えていきます。しかし、理解力、洞察力、コミュニケーション能力など、思考の積み重ねによって高められる「結晶性知能」は、経験と思考を続ける限り衰えることはなく、むしろますます豊かになっていきます。

自分にできないことが増えていくのを嘆くよりも、年齢を重ねるごとに徐々に高まっていく能力に目を向け、希望を持ち続けましょう。そうすれば、心身ともに健康を保つことができます。

人生の大きな課題に長期的に対処するために必要な「知恵」や、既存の枠組みにとらわれない柔軟な発想、新しいものを創造するための「創造力」も、経験の積み重ねによって磨かれていくものです。場合によっては、高齢になって初めてピークを迎えることさえあります。

ただ時間を浪費するだけでは、結晶性知能や知恵を高めることはできません。前述のとおり、豊かな経験と思考がなければ、これらの能力は成長しません。自然の中で過ごしたり、人と交流したり、読書をしたりすることは、個人の経験や見識を豊かにします。自ら積極的に様々な経験を重ねることも有効です。

「もう新しいことを始めるには歳を取りすぎている」と考えてしまう人は、経験を積む機会を失ってしまいます。老化のスピードは、実は気分によって左右されるのです。現代の高齢化社会においては、高齢者間の情報格差が深刻な問題となっています。しかし、人生に対して前向きな姿勢を持ち続ける人は、デジタル機器の使い方を難しく感じることなく、若者と同じように自在に使いこなしています。
 

自主決定権を大切にする

「成功した老い」は、他者から見れば「自立した状態」であり、焦点は周囲がどう捉えるかにあります。しかし、高齢者本人が幸福を感じられるかどうかこそが最も重要であり、「成功した老い」よりも「幸せな老い」という概念のほうが適しているかもしれません。幸せな老いは、他者からの評価ではなく自己評価を重視します。毎日、自らに前向きな気持ちをもたらす事柄に意識を向けることが大切です。

高齢者が自立できなくても、介護が必要であっても、「自律」を保てれば幸せになれます。自律とは「自分の意思で自らの人生を決めること」、つまり「自主決定」ができる状態を指します。例えば、他人に「食事の時間です、食べましょう」と言われるのではなく、「ご飯ができました。召し上がりますか?」と尋ねられることです。食べるかどうかを自分で決める、これが「自主決定」です。

自分で意思決定できる限り、介護を受けていても「幸せな老い」を実現できます。多くの人が人生の最期の数年間を介護生活で過ごす中でも、自ら選択できる高齢者は幸福を感じ、生きる意欲を失いません。1970年代にアメリカで行われた調査では、介護施設に住む認知症の高齢者でも、自分で食事を選べる人は選べない人より長生きすることが明らかになりました。これは、たとえ些細なことでも自分で意思決定できる生活が、心身の健康維持と充実した老後につながることを示しています。
 

生産的な活動に従事する

高齢者が行動を起こすことで、社会に貢献する製品やサービスが生まれます。

ここでいう「生産」とは、有償労働だけでなく、ボランティア活動、家事、介護、育児といった無償労働も含みます。つまり、社会に貢献するあらゆる活動を指し、高齢者が経験・知識・能力を発揮できる場を提供することが目的です。

生産活動は高齢者の心身の健康に良い影響を与えます。活動を通じて「提供する側」となることで自己の価値を実感し、自尊心が高まります。また、新たな人間関係を築き、新しい役割を担うことは、生きる意味をもたらし、幸福感につながります。

多くの高齢者は退職後も健康であり、その能力を発揮すれば、より理想的な地域社会や家庭を築くことができます。
 

質の高いソーシャルネットワークを楽しむ

高齢者は社会とのつながりが希薄になりがちであり、だからこそ他者との関係が重要です。人と人との相互関係は「社会的ネットワーク」と呼ばれます。このネットワークの規模が大きく、交流が活発で幅広い人ほど、「主観的幸福感」や自尊心が高い傾向にあります。

ただし、人との交流は単に頻繁で交友関係が広ければ良いというものではありません。その「質」が重要です。信頼できるつながりや深い人間関係こそが、高齢者の幸福感を支える鍵となります。

(ウェブサイト特集記事、無断転載禁止)

(本記事は『練習好好變老──你一定會老,但要老得自在從容!醫學博士從112個關鍵字解讀高齡人士的心理與行為邏輯,消除你對老後的恐懼與不安』からの抜粋・再編集/積木文化 提供)

(翻訳編集 李慧琴)

黃薇嬪