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ダンスでうつ病を解消

憂鬱や不安な気持ちをワルツで解消したり、ダンスで認知・神経の健康を高めたりできるのでしょうか。

カナダの研究では、週1回のダンスクラスがパーキンソン病患者のうつ病を軽減する可能性が示されました。これは、ダンスが精神的・身体的健康を高める可能性を示唆する最新の研究です。

どんな運動も健康に良い影響を与えますが、ダンスは身体活動、音楽、そして社交的交流を組み合わせたユニークな活動です。これらの要素の組み合わせが、多面的な健康効果の基盤となる可能性があります。
 

気分を高める

『Advancing Digital Health & Open Science』に掲載されたカナダの研究によると、パーキンソン病など神経変性疾患を持つ人々において、うつ病の増加が確認されています。

研究者は、34人の参加者(68%がパーキンソン病患者、32%が健康者)を対象に、8か月間にわたる週1回のダンスクラスの効果を調査しました。介入終了後、自己報告アンケートではうつ症状の軽減が示され、MRIではうつ病に関連するネットワークの重要部分とされる前頭皮質の一部における酸素化マーカーの減少が確認されました。

ダンスは一般の人々の気分改善にも効果がある可能性があります『Frontiers in Psychology』に掲載された41件の臨床研究を統合したメタ分析では、ダンスおよびダンス運動療法が複数の疾患を持つ人々のうつ病や不安を軽減し、その効果が長期にわたる可能性があると報告されました。

ダンス運動療法とは、身体と心のつながりやダンスの癒し効果を前提とした運動療法で、感情的・社会的・認知的・身体的統合を促進し、健康と幸福感を高めます。

また、『Arts in Psychotherapy』に掲載された系統的レビューでは、ボールルームダンスも抑うつ症状を軽減し、パーキンソン病や他の慢性疾患を持つ人々の身体的自己肯定感や生活の質を向上させ、苦痛を和らげることが示されています。

他の運動と同様に、ダンスも脳内の「気分を良くする」化学物質であるエンドルフィンを増加させますが、その気分向上効果はより複雑で多面的です。

「Relief Mental Health」の公認臨床カウンセラー兼ダンス運動療法士、クリスティン・ゴニョン氏は、ダンスが気分をどのように改善するかについてエポックタイムズに語りました。

「ダンスは、不安や身体の緊張に悩む人にとって解放の手段となります」と彼女は述べました。「人は多くのことを考え、計画し、処理し、記憶するため、頭でっかちになりがちで、身体とのつながりを失うことがあります。ダンスは身体と心をつなぎ、動きと音楽に集中することで、ストレスや不安から意識をそらすのです」
 

神経可塑性の向上

公認家庭医学オステオパシー医師のジョセフ・マルコラ博士によると、ダンスは神経の健康を促進する優れた方法であり、その利点は科学的研究によって裏付けられています。

ダンスをすると、運動、バランス、感覚に関与する脳の複数の領域が活性化されます。この活動は学習や適応能力を強化し、「神経可塑性」として知られる能力を高めます。これは脳の構造的変化を伴い、機能的改善をもたらすと、マルコラ博士はエポックタイムズへのメールで説明しました。

マルコラ氏は、『Neuroscience & Biobehavioral Reviews』に掲載された系統的レビューを引用し、ダンスが神経可塑性に与える影響を紹介しました。8件の研究を分析した結果、ダンスによる複数の脳領域の活性化が、領域間の結合を強化し、脳の体積や構造の変化を引き起こすことが示されました。

研究によると、ダンスは記憶力、注意力、そして身体のバランスを向上させます。

「これらの結果は、ダンスが成熟した脳においても神経可塑性を促進し、脳領域を独自に統合することを示唆しています」と研究者らは述べました。
 

認知機能の向上

軽度認知障害の人は、認知症を発症するリスクが高いとされています。

984人の参加者を対象にした10件の研究を分析した、『BMC Geriatrics』に掲載の系統的レビューとメタ分析によると、ダンス療法は全体的な認知機能、実行機能、記憶、言語、注意力、精神的健康を有意に向上させることがわかりました。研究者は、ダンス療法が高齢者の軽度認知障害に対する効果的な非薬理学的治療であると結論づけています。

「ダンスの最も魅力的な側面の一つは、認知症などの神経疾患のリスクを下げる可能性があることです」とマルコラ氏は述べました。「これは、ダンスが絶え間ない意思決定、協調性、記憶の想起を通じて脳に挑戦し、認知の健康を維持する重要な要因だからです」
 

フィットネスの向上

60歳以上の人は座りがちな生活を送りがちで、それが多くの健康問題に寄与します。『Alternative Therapies in Health and Medicine』に掲載された系統的レビューでは、ボールルーム、文化的ダンス、ジャズ、コンテンポラリーなど18種類のダンスを調査しました。その結果、どのダンスも高齢者のバランス、持久力、筋力、機能的フィットネスのさまざまな側面を改善する可能性があると示されました。
 

神経リハビリテーションの促進

『Journal of Bodywork and Movement Therapies』に掲載された系統的レビューでは、パーキンソン病を含む神経疾患のリハビリテーションにおけるダンスの価値が検討されました。

「ダンスは魅力的で楽しい活動として、運動および注意システムを刺激し、患者に筋肉を活性化させ、協調運動を実行する動機を与えるため、神経リハビリテーションにおいて理想的な代替手段です」と著者らは記しています。
 

社交性の促進

「Neuroscience & Biobehavioral Reviews(NBR)」に掲載された系統的レビューの著者によると、ダンスは社会学習、絆、コミュニケーション、信頼の模範となる活動です。

ロサンゼルスのRoad to Wellnessのオーナーで、公認臨床ソーシャルワーカー心理療法士のジャネット・バイラミャン氏は、ダンスの社会的利点についてエポックタイムズにメールで語りました。

「パートナーやグループでダンスをする人は、仲間との一体感を体験します」と彼女は述べました。「これは、理解されたい、聴かれたい、認められたいという人間の欲求を満たし、精神的健康を改善します。ダンサーはパートナーとの動きを通してそれを感じ取るのです」

バイラミャン氏は、サルサなどのボールルームダンスが特に強調されるのは、つながりを育む力があるためだと指摘しました。これらのダンスは、心身の解放とコミュニティの一員としての参加を促進します。

「こうした機会を通じて、ポジティブな友情や人とのつながりを築けます」と彼女は述べました。

ほとんどのダンスは楽しく、習得も比較的容易です。特にワルツは学びやすいダンスの一つです。ダンスが苦手、あるいは経験がないと感じる人でも、クラスを受講することで新しい学びの扉を開けます。
 

動きを振り付ける

NBRの系統的レビューは、ダンスに独自性を与える特徴をまとめています。これには、音楽のリズムとハーモニー、社交性、コミュニケーションが含まれます。さらに、感情、認知、喜び、美的要素が加わり、組み合わさることで多様で興味深い効果を生み出します。

多くの人は音楽に合わせて体を動かしますが、リズムやビートに合わせて「振り付け」し、タイミングを合わせる人は少ないでしょう。振り付けには、感情を引き出し、動きを計画・記憶するという美的側面があり、認知を制御する脳の領域を活性化します。

「すべては『魔法のトリオ』——動き、音楽、つながり——にあります」と、ノースカロライナ州ローリーにあるNew Waters Recoveryの公認精神科医で医療ディレクターのハロルド・ホン氏は述べました。

ホン氏はエポックタイムズへのメールで次のようにまとめています。身体活動は体を強く保ち、脳への血流を増やし、気分を高める化学物質を放出します。音楽は感情に働きかけ、ポジティブな関連を生み、動きにリズムを与えます。社交的交流はコミュニティ意識と帰属感を育みます。

彼は、これらの要素が互いに増幅し合うと説明しました。動きは緊張を和らげ、音楽は気分を高揚させ、社交的交流は感情的な回復力を強化します。

「だからこそ、ダンスは単なる運動ではなく、生き生きとし、つながりを感じられる体験なのです」と彼は述べました。

NBRの系統的レビューも、ダンスが幸福感を促進する能力を報告しており、「持続的なポジティブ感情」を引き出すと研究者は書いています。

ホン氏も、ダンスは喜びに関するものであると同意しています。

「ボールルームで回転したり、車の中でお気に入りのビートに合わせて頭を振ったり、リビングで自由に体を動かしたり——ダンスは身体的にも感情的にも気分を良くする驚くべき方法です」と彼は語りました。

「訓練されたダンサーである必要も、完璧な振り付けを覚える必要も、特別なリズム感すら必要ありません。音楽に合わせて体を動かすというシンプルな行為だけで、多くの利点が得られるのです。次に好きな曲を耳にしたら、考えすぎずに立ち上がり、動いて、その瞬間を楽しんでください。心も身体も魂も、きっと感謝してくれるでしょう」

(翻訳編集 日比野真吾)

Mary West
フリーランスライター。ルイジアナ大学モンロー校で2つの理学士号を取得。