神経科学者が勧める 脳を鍛える「すぐできる」3つの習慣

脳は人体で最も複雑な器官であり、多くの重要な役割を果たし、日常生活のあらゆる場面を支えています。そのため専門家は、大切な脳の健康を守るために、「いつでもどこでもできる3つの秘訣」を提案しています。

米紙『ニューヨーク・ポスト』によると、脳の健康を維持する方法としては、健康的な食事、定期的な運動、十分な睡眠、ストレス管理や社交活動などがよく知られています。また、楽器の習得、利き手でない手を使って作業すること、いつもと違うルートで帰宅することなどの非日常的な行動も、脳のトレーニングになるといいます。

ハーバード大学を卒業した神経科学者のケビン・ウッズ氏は、こうした方法に加えて、手軽に実践できる3つの方法を次のように紹介しています。
 

鼻歌を歌う

口を閉じて鼻歌を歌うことで迷走神経が刺激され、体がリラックスし、ストレスを和らげる可能性があります。迷走神経は20万本以上の副交感神経線維から構成されており、脳はこの迷走神経を通じて、主要な臓器の働きを調整しています。

研究によると、鼻歌は鼻腔内の一酸化窒素の量を増やし、脳の血流を改善して気分を高める可能性があるとされています。

ウッズ氏は、「合唱団のメンバーを対象にした研究では、心拍変動や認知機能の向上が見られました」と説明し、持続音を出す際の呼吸コントロールや、注意力の調整に関わる神経ネットワークも鍛えられると述べています。

心拍変動とは、心臓の鼓動の間隔がどれほど変化するかを示す指標で、数値が高いほど健康状態が良いとされます。鼻歌を歌うことで心拍数が下がり、心拍変動が高まる可能性があります。

一名老年女性在聽音樂。(Shutterstock)
音楽を聴く高齢女性。(Shutterstock)

 

後ろ向きに歩く

「後ろ向きに歩くことで、脳を刺激し、集中力を高め、神経のつながりを強化し、新しい神経経路を作り出す可能性があります。研究では、後ろ向きに歩くことで、認知力やコントロール力、記憶力が向上することが示されています」と、ウッズ氏は語っています。

後ろ向き歩行は、バランス感覚や協調性、姿勢の改善にもつながり、特定の筋肉を強化し、腰痛の緩和に役立つ可能性もあります。さらに、前向きに歩くよりも多くのカロリーを消費するといわれています。

専門家は、「後ろ向き歩行を始める際は、障害物のない平坦な道を選び、頭と体幹をまっすぐに保ち、体幹を引き締めながら、つま先から踏み出し、周囲に注意を払って歩くことが大切です」と助言しています。

イギリスイースト・ロンドン大学の臨床運動生理学講師、ジャック・マクナマラ氏は、The Conversationへの寄稿で、「後ろを向いて歩く際に体をねじったり、振り返って確認したりしないように、まず足の親指の付け根から後ろへ踏み出し、次にかかとを地面につけるようにしましょう」と指導しています。

慣れてきたらスピードを上げたり、トレッドミルで試したりすることもできますが、その場合は安全バーを使用するよう勧められています。

一名男子在倒著走。(Shutterstock)
後ろ向きに歩く男性。(Shutterstock)

 

ガムを噛む

ガムを噛むことは、さまざまな形で脳に良い影響を与える可能性がありますが、その仕組みはまだ完全には解明されていません。

研究では、ガムを噛むことで脳の血流量が増加し、記憶や学習に重要な前頭前皮質や海馬に、より多くの酸素やブドウ糖が供給されることが示されています。

血流量の増加は、栄養供給を高めるだけでなく、注意力の向上やストレス、不安の軽減にもつながると考えられています。

どのようなガムを選ぶべきかについて、ウッズ氏は「味や形が長時間噛んでも崩れにくいものがよい」と述べており、歯科医であれば、虫歯になりにくい無糖ガムを勧めるでしょう。

ウッズ氏は、これら3つの方法を日常生活に取り入れながら、自分に合った脳トレ法を見つけてほしいと助言しています。

「自分にとって役立つことが、他の人には逆に気が散る要因になることもあります。つまり、向き不向きがあるのです。自分に最も効果的な方法が見つかるまで、失敗を恐れずに試してみることが大切です」と、彼は補足しました。

(翻訳編集 正道勇)

陳俊村