「陰性エイズ」?中国を襲った未知のウィルス(上)

【大紀元日本4月18日】微熱、力が出ない、発疹、リンパ節の腫れなどのような非特異的な臨床症状が現れ、日常生活に支障が出る。エイズと似たような症状であるものの、エイズ検査では陽性反応は見られない。このような症状にかかった患者が中国南部の広東省を含めて中国各地で数千人に至っており、更に拡大する傾向だという。

4月はじめ、香港メディアが香港で見つかったある未知の病気を「陰性エイズ」として報道し、国内外の中国語メディアも相次いでこの問題を取り上げたことから、中国各地でパニックとなった。4月11日、中国衛生部(厚生労働省に相当)は、「陰性エイズ」の問題について記者会見し、そのウイルスの存在を否定した。また、関係機関は今年2月から3月にかけて、北京市、上海市、浙江省、江蘇省、湖南省と広東省の6カ所で、未知のウィルスにかかったと自称する患者について調査したが、エイズやほかの感染病にかかった可能性はないと発表した。

では各地で蔓延するこの病気はいったい何なのかというメディアの質問に対して、衛生部報道官・_deng_海華氏は、エイズへの恐怖による心理的な症状に過ぎないと答えた。

「恐怖症」ではない

「エイズへの心理的な恐怖ではない」と、一人の患者は記者に訴える。「福建希望」と名乗り、ネット上で同じ症状にかかった人たちのチャットグループに入っている彼によると、「私は政府機関で勤める公務員。私と妻が経験している症状はとても鮮明で、ウイルスにかかっているのは間違いない」という。同患者は2010年夏、エイズ治療で有名な北京地壇病院で免疫細胞の検査を受けた。標準の数値より100も低い結果だったが、病院の先生から「参考数値は海外の国が設定した基準で、あなたのケースはエイズ恐怖症だ」と言われたという。

しかし一家3人、最初は彼だけが「陰性エイズ」の症状であったが、現在症状の軽い妻を除き、彼自身と4歳の息子にも直腸に病変が見られる。

知られていない病気。病院からも助けが得られない。絶望を感じる「福建希望」はネット上で同じ症状を訴えるネットユーザーグループに入っており、お互いに治療の方法を探っている。「葉子」という「神秘的な」ネットユーザーと良く話をしているという。この病気はエイズの変異したもので、エイズ治療薬を試してみたらと葉子に勧められているという。「しかしあの薬は毎月2000元以上かかる。とても私の収入ではカバーできない。しかし子どものことを考えると借金しても試してみたい」

「患者の大半はリスクの高い性的行為を経験したことがある」と、中国のメディアはこの未知の病気について大よそこのように報道している。貴州市のある大学生・無奈(仮名)が、「ガールフレンドとキスしたことしかない。なぜエイズと同じような病気にかかったのか理解できない。私の症状も今報道されているものと全く同じで、一番深刻なのは内臓器官の痛み。舌にできた苔は真っ白です」と記者に告げている。無奈さんによると、同じ学校で彼と似たような症状にかかった学生は少なくとも5、6人いる。

四川省バチュウ市「中一年」と名乗るネットユーザーによると、症状が出てから今年ですでに11年目。家族と親友を含めて自分の周りに十数人以上自分と同じような症状の人がいる。自分の母親もこの病気で亡くなった。現在漢方薬で治療しているという。「これは絶対に恐怖症なんかではない。ウイルスに間違いない。だって症状はあまりにも顕著だ。私は今肝臓や肺などの内臓器官すべてに異変が起きている」

17歳の飛飛と母親も、「陰性エイズ」の症状に苦しんでいる。「絶対、心理的な恐怖症ではない。すべての検査結果から、私の免疫力は大変衰えており、免疫細胞は400しかないと証明されているもの」。いかなる不適切な性的行為もなかった彼女は、5年前の美容手術でこの未知のウイルスにかかったと考えている。「5年も経ったのに、私たちのことを公に話す医者は一人もいない」と彼女は憤慨する。息子を連れて北京に診てもらいに行ったことがあるが、そこのある医者はこの問題はあまりにも敏感な話題で、公表したらクビにされると彼女に話したという。

衛生部の発表によると、6つの省・市で伝染病の検査を行うと同時に、59人の患者の血液サンプルをアメリカに送り、検査を依頼しているという。ネットユーザー「不明ウイルス感染者」はポータルサイトSinaのミニブログで、自分が59人の患者の一人だと自称し、59人の患者とも次のような症状を持っていると明らかにした。口内潰瘍、歯茎の衰退、咽頭炎、鼻炎、視力衰退や、リンパ節の腫れ。

実際、「陰性エイズ」の話題が出たのは今年だけではない。ここ数年、エイズの症状はあるものの、エイズウイルスが検出できない患者が中国本土で突然多く現れている。昨年まで、この病気を中国政府と病院は「エイズ恐怖症」と名づけて来た。この問題について、昨年海外の中国語週刊誌「新紀元」175号は、「目に見えない恐ろしい疫病・エイズ恐怖症」と題する特集でスクープした。以下はこの記事の一部抄訳。

中国を襲った未知の病気

「この病気の治療ができなければ、人類を壊滅させる災難になるかもしれない」とあるHIV陰性感染者は自分の心境をこう語った。中国に数えきれないほどいるエイズと同じ症状を持つ患者は生死の境で彷徨っている。政府と病院の無対応に直面して、彼らは自力で病気の真相を探るしかない。

今年49歳の上海市民・林峰さんは、2008年5月に体調が突然悪化した。現れた病状は、筋肉の痙攣、関節の摩擦音、耳鳴り、飛蚊症、胸腺消失、臓器の痛みなど。医薬会社で働く林さんは病院で検査して、B型肝炎、肝壊死と診断された。その後、胃の検査で胃の粘膜に豆のような疱疹が発見されたため、びらん性胃炎と診断された、林さんは食事のたびに嘔吐する。2008年5月の発病当初、82.5キロあった体重が、11月にはわずか52.5キロと、半年で30キロも減った。

林峰さんによると、今まで1年半の間、内臓が硬くなるのを感じ、歩くことが難しくなって痛みを伴い、関節はギシギシと音を立てた。皮膚と筋肉は繊維化してリンパ管が痛み、皮下組織は砂のようになり、脂肪が粒状になったようだ。入浴時水に濡れると皮膚の表面が何かドロドロしたものに包まれるようになり、風呂から上がったあとは拭いても拭いても乾かず、いつまでもネバネバしていた。「私はもう瀕死状態だ。何もかもに絶望している」と、林さんは「新紀元週刊」の記者に話した。

同じ40代の退役軍人・平安さんは2009年に軍の仲間と飲みに行った後、林峰さんと同じ症状が現れた。「経験したことのない頭痛、めまい、それから皮膚の湿疹と下顎のリンパ節の腫れ。私は計5回入院したが、一向に好転しない。全身の骨が痛くて音を立てる、舌の苔は白くなり、病因は分からない。今、胃の噴門に腫瘍ができて、全身の肌がくすんで紫っぽくなった。胸、肺、食道に硬直感、唾を飲み込む時も苦しく、1日に何度も呼吸困難が起きる。狭心症は毎日のように発作し、発作時には全身の筋繊維が痙攣する。今日まで生きてきたのが奇跡だ」と、彼は自分の苦しさを述べた。

ここ数年、中国に突然、このような病状を持つ患者が多く現れた。「患者数は膨大な数字となり、ますます多くの社会問題を引き起こし、臨床の仕事にまで支障をもたらしている」と、中国衛生部エイズ専門家委員会臨床チームのリーダー・李太生さんは2007年の文章で書いた。

杭州第六人民病院を訪ねるこの類の患者は毎年4、5千人いる。「南方都市新聞」は2009年10月、「中国に30大都市あるとして、もし各都市ごとに毎年4、5千人の患者が一つの病院に行くと推計すれば、全国の患者数は少なくとも数十万に及ぶ」と報道した。

記者の調査によると、これらの患者はインターネットで数十のグループを作っており、一つのグループのメンバーは数十人~数百人。このようなエイズと類似症状を呈する患者のほとんどは、性行為によって感染したのだ。

林峰さんと平安さんは、記者の調査によると、非性行為の感染例である。

彼らのHIV検査結果はみな陰性だ。つまり彼らの病気はエイズではないという。中国疾病対策予防センター(CDC)によると、彼らが罹ったのは「エイズ恐怖症」で、つまり彼らはエイズを恐れているために精神状態が異常になり、次第にエイズと似た病状を呈したという。

これはあくまでも政府が責任をごまかすための言い方で、事実上「エイズ恐怖症」は現在、中国全土で急速に広まっている。感染ルートが特定できず、高感染率、治愈率がゼロの「エイズ恐怖症」は決して癌、エイズ、サーズ(SARS)、H1N1に劣ることなく、むしろもっと恐ろしいものだ。

「私たちのグループはメンバーが入ったり死んだりしている。多くの先に入った患者が死亡し、また新しい患者が次々と加入する。この病気は、精神病ではなくて一種のウイルス感染症であるということ以外、我々は何も知らない。全国で1千万人の患者がいると思う」とある患者は語った。

「私はいろいろな薬を飲んでみて、その効果を記録して残している。こうすると私は死んでも、その記録は家族の治療に役立つかもしれない。特効薬がなければ、この病気は人類を滅ぼす災難を起こすに違いない」。退役軍人の平安さんは言った。

(続く)

(記者・陳怡蓮、韋拓 日本語ウェブ翻訳編集チーム)

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