錯綜の江氏死去説 中国国内世論:それでも爆竹で祝いたい

【大紀元日本7月8日】「生きているのか死んだのか」。この二日間、江沢民前中国国家主席の死去説が、中国国内外のメディアを悩ませている。

二転三転の死去説

死去説の流布は、権威の顕示を好む江氏が1日の中国共産党創立90周年記念式典に欠席したのがきっかけとなった。5日、ネット上で江氏が脳死したという説が流れ、6日に江夫人と強いパイプを持つ香港のテレビ局ATVが「病死した」と報道していた。以降、日本の産経を含めた世界メディアが相次いで報道し始め、インターネット上の爆発的なニュースとなった。

例外は、中国国内のメディア。「江沢民」に関するニュースは一切、見当たらず、噂があったことさえも報じられていない。「江沢民」の名前に関連する言葉や、「心筋梗塞」「301病院」などは中国のネット上ではフィルタリングの対象となり、現在各地で洪水が氾濫している大河や長江の名前さえ検索に引っ掛かるほどの、厳しい情報統制が敷かれている。

二日間の沈黙を破り、中国国営の新華社は7日午後、江沢民の死去説を否定した。しかし、これは海外向けの英文報道のみで、国内での報道はされていない。しかも、江の健康については何の説明もない。中国外務省の洪磊副報道局長も同日の記者会見で「新華社がすでに報じた通りだ」と否定し、記者からの更なる質問を濁した。外交部は定例記者会見の様子を公式ウェブサイトに掲載しているが、江沢民氏に関する質疑応答の部分はカットした。

6日に香港テレビ局のATVが死去説を一足先に発信してから、中国政府は初めて態度を表明。それを受け、ATVが7日、江氏や家族らに謝罪するとの声明を発表した。声明は自社の報道を誤報とするものではないが、「今日の新華社電を受け、江氏が亡くなったとの昨晩の報道を撤回します」としている。

一方、ロイター通信は7日の報道で、中国指導部に近い情報筋3人への取材内容として、江氏は心臓発作を起こした後、人民解放軍総医院(301病院)の集中治療室(ICU)に入院していると報道している。

民間:爆竹で祝おう

中国国内メディアの沈黙とは逆に、ネット閉鎖を突破して海外メディアの報道から江の死去説を耳にした民衆やネットユーザーの声は、「痛快」が圧倒的だ。厳しい情報統制にもかかわらず、ネットユーザーはあらゆる手段で江の死去情報を流布している。カエル(江のイメージに似ているからよく使われている)や、ズボンのベルトが胸まで来ているスーツの漫画が広く使われている。

ネット上の書き込みによると、寧夏など一部の内陸地では、爆竹を鳴らして祝う民衆も出ているという。また、新華社が否定した後、爆竹を連続して鳴らし江の死去を願うと表明するネットユーザーもいる。

典型的な書き込みを紹介する。

「1日の共産党創立記念の祝賀式典での紅歌(革命歌)のパフォーマンスで、長沙市葬儀館が『あなたが来る日を待っている』との曲を披露した。さすが的中している。江鬼がこんなに早くもそっちに行ったね」、「今日、爆竹は売れ切れ。原因は…知ってるだろう、爆竹は邪気除け作用があるからね」、「江核心(江沢民を指す)の死も一国2制度を反映している。香港ではすでに死んだが、大陸ではまだ活きている」、「初めて胡錦濤と同じ喜びを味わうわ。爆竹を鳴らして祝おう」

「江の死は祝うべきだ。彼が政権に就く前、共産党は崩壊の結末を避けられたかもしれない。しかし、彼の時代で根底から腐ってしまった。私が知っている一部の体制内部の高層者も彼のことを憎んでいる」と、中国国内の経済学者・綦彦臣は語る。

江沢民は、1989年の天安門事件で民主化を求める学生を弾圧する_deng_小平の措置を支持したことで中央政界でトップに登りつめた。トップの座に就いた後、国民に対して中国共産党による統治の正統性を再確認させるとともに、政治への不満から目をそらせるために愛国主義教育(反日教育)を推進したのである。また、教育産業化、医療体制改革、国有企業の私有化などの改革を推進していたが、腐敗問題、貧富格差の拡大化、社会の道徳基盤の崩壊をもたらした、と共産党体制内から一般民衆までに悪評されている。特に1999年、中央政治局のほかのメンバーの反対を押し切って、1億人が愛好していた気功・法輪功を弾圧する指令を自ら通達することで、「1億人以上の国民を共産党の敵に回す」こととなった。

二転三転の死去説について、香港誌『開放』の編集長・蔡咏梅氏は、新唐人テレビの取材で以下のようにコメントしている。「アジアテレビは大陸政府とつながりがあるので、全くでたらめではないでしょう。江が死んだかどうかにかかわらず、彼の政治生命はすでに終わり、死んでいなくても重病を患う病人です」「友人らと食事をしていた時、この情報を聞きみんな大声で笑い、喜びました。彼は独裁者である上、民心を得ていないので、早めに死んだほうが中国にとってはいいことなのですから」

北京在住の自由派ジャーナリスト・高瑜氏が、新華社の否定説について、江を公の席に出すことで噂を鎮めることはないだろうと指摘している。「彼が公に出るとその重体状況を周知させてしまう。現在は彼の死去説を否定しているが、重体になったことは否定していない。江の病気は、現在、中共の最大の国家機密でしょう」という。

(翻訳編集・趙莫迦)
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