増税策に数千人抗議 数百台の車が破損 死者の情報も=浙江省
【大紀元日本10月29日】浙江省湖州市では26日と27日の2日間、縫製業を営む出稼ぎ労働者数千人が、現地政府が制定した増税策に反対するため、大規模な抗議活動を起こした。大勢の警察が現地に派遣され、警察車両を含む数百台の自動車が暴徒により破壊された。複数の死傷者が出たとのネット情報もあり、ミニブログで公表された抗議の一部始終を収めた映像も一時、流出したが、大半が削除されている。
同市呉興区織里鎮は中国有数の児童服生産地。総人口は約30万、そのうちの20万人は出稼ぎ労働者だ。その大半は縫製業に携わり、家庭工房を営んでいる。
抗議の発端は、現地政府が制定した「機頭税」にある。一台のミシンにつきその税額は去年比で2倍増の600元となった。多くの業者は税額が重すぎるとして納付を拒んできた。
事情を知るものが流したとみられるインターネット上の情報によると、26日には1人の安徽省出身の女性労働者が納税を拒否したため、集金係に暴行されて負傷した。これを知った他の労働者たちは憤慨し、抗議に出たという。
ラジオ自由アジア(RFA)によると、直後に数千人が
抗議者と警察が対峙する場面(ネット写真)
現地の政府役所の前に集結して抗議活動をはじめた。当局は大量の警察部隊を現地に緊急派遣し、双方はもみ合いになった。一部では死傷者が出たとの情報もある。翌日の27日まで抗議は続き、警察車両を含む500台以上の車両が、窓ガラスを割られたり引っくり返されたりして破壊された。
一方、大紀元の取材に答えた現地住民の話によると、26日夜、抗議者たちの大群に一台の高級乗用車が突っ込み、数人を引いて逃亡、複数の死傷者が出るという惨事が起きた。怒った抗議者らはそれから、車を見かけては破壊するという行為を繰り返す暴徒と化した、という。
BBC中国語版は現地政府の公表として、9人が負傷しており、死者はいないと報じた。一方、ネット情報は7人が死亡、20数人が負傷したとの情報もあるが、現時点において、これらの情報の信憑性を確認できていない。
中国国内の十数の主要サイトは本事件を概略的に報道した。現地の湖州市公安局もそのミニブログで関連情報を発信した。地方政府側の説明は、業者が納税を拒否し、悪意を持って事件を起こしたという。
中国政府の機関紙・新華社は、「26日午後、呉興区織里鎮において度々税金の納付を拒否してきた安徽省出身の労働者は、当局の集金係と衝突した。傍観する周辺の市民は600人以上に達した」「その後、百人余りの労働者が付近の国道を封鎖しようとし、路上に駐車していた30数台の自家用車の窓ガラスを割り、路地にあるゴミ箱などの公共設備を破壊した」などと報じた。
新華社は、27日夕方までに現地の公安当局が5人の抗議者を拘束し、23人の抗議者の身柄を一時拘束したと報じた。
一方、現地情報サイト「浙江在線」は、地方政府は抗議を受けて、騒動の要因となった増税策の先送りを決めたとの情報や、女性業者を暴行した集金係は解雇されたなどの話を伝えている。
地元住民が大紀元に寄せた証言では、湖州省公安局は携帯メールを大量に発信して、市民に対して「不法者」の逮捕に繋がる有力情報の提供を呼びかけているという。
住民の範子良さんは、「社会の様々な不公正と増え続ける税金に、民衆は息が詰まるほど苦しんでいる。だからこそ、一旦、集団事件が発生すると、皆がすぐに集結して蓄積してきた鬱憤を晴らそうとする。それが収拾のつかない状況をもたらす」と述べた。
インターネットでは、事件は報道よりずっと深刻であるとの書込みもあり、ミニブログで公表された中継映像はすぐに削除されている。市民が撮影し、Youtubeに流した映像では、抗議者が警察車両に放火し、双方がもみ合いする一部始終が収められていた。