【生活に活きる植物】49・綿(ワタ)

【大紀元日本12月16日】ワタはインド原産で、日本には8世紀頃伝えられたアオイ科の1年草。花は白、淡黄や紫色で、卵形の果実は成熟すれば3裂し、それぞれの室に5~7個の種子があり、長い綿毛が生えています。はじけて綿毛のあふれ出た白または色のついた種子は花のように愛らしく、コットンボール、綿花(めんか)と呼ばれています。収穫してすぐの種子(綿実子)からは綿実油が採れます。薬用、食用と多方面に利用されます。

【学名】Gossypium hirsutum
【別名】(古名)中綿、吉具
【成分】リノール酸、パルミチン酸など多数の脂肪酸、ゴシポールなど

【薬用効果】綿実子は催乳作用があり、種子5gを煎服します。また、含有するビタミンEは細胞の老化を防ぎ、癌の予防に効果があります。β―シトステロールが動脈効果や血栓の原因となる悪玉コレステロールの体内吸収を防ぎます。

【食用】綿実油はサラダ油、マーガリンの原料となり、酸化しにくいため、スナック菓子やフライ料理などの揚げ物や、ツナ缶の油漬け用にも使われます。

【余談】ワタは世界中で栽培されていますが、世界最古の栽培の証拠がメキシコで見つかり、およそ8000年前のようです。日本では16世紀に栽培が盛んになり、綿布が衣服に使われるようになりました。それまでは麻、カラムシ(苧麻)、コウゾなどで作った布を衣服としていました。しかし、暖かく、着心地が良く、染色性にも優れている綿糸で織られた綿布が急速に普及しました。種子の表皮細胞の成長したものが綿繊維です。中空で、天然撚り(ねじれ)を持っているのが特徴で、長繊維のエジプト綿、中繊維のアメリカ綿、中国綿、短繊維のインド綿などに分類されます。綿には木の綿と草の綿の2種類があり、日本では草から採れる綿を使っていますが、中国では大木になる木の綿が使われ、木綿(もめん)の名が日本でそのまま使われたようです。

(文と写真・ハナビシソウ)