深セン鳥インフルエンザ 疑われる中国政府の対応=香港紙が警告

【大紀元日本1月5日】広東省深セン市でH5N1鳥インフルエンザに感染した男性が死亡した件について、深セン市疾病予防センターは1日、男性が感染していたのは亜型鳥インフルエンザだが、ヒト間感染の可能性はないと伝えた。しかし、ヒトが感染しながら家禽への感染が報道されてない中国本土について、ニワトリの感染が明らかになった香港では当局の発表を疑問視する声が上がっている。しかも、感染ルートがいまだ明確にされていない。

広東省疾病予防センター流行病研究所の何剣峰所長は、死亡した男性(39)はバスの運転手で、毎朝湿地公園でジョギング中に公園内の渡り鳥の排泄物に接触し、感染した可能性があると述べているが、患者は確診後、昏迷状態であったため、感染との関連性は定かではない。現在この患者と接触した120人以上には症状が出ていないと伝えた。

一方、香港感染病専門科医師・労永楽氏によると、死亡した男性が感染したウィルスは渡り鳥のウィルスではなく、家禽のウィルスであるという。患者の住む村では家禽が放し飼いになっている。男性はこれらの家禽から感染した可能性は高く、香港政府は同区からの家禽製品の香港への輸入を全面禁止すべきであると述べている。

現在香港では、死亡した患者の住居から半径13キロ以内からの家禽製品の輸入を一時的に停止している。

同医師はさらに、広東省当局が渡り鳥からの感染と決め付けることは、病気の流行抑制に不利だと指摘する。なぜなら家禽を屠殺することに対して警戒を呼び起こすことが出来ないため、将来的なヒトへの感染を抑制することが出来ないからだ。

「ここ十数年、香港ではいつもヒトの感染の前に家禽の感染が確認されている。内陸ではその逆だ」と2日付の香港有力英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト(南華早報)」は指摘し、「ヒトが感染してからそのルートを探ろうとするやり方は無責任だ」と批判した。

さらに同紙は、2003年にSARSの流行の際の中国当局の隠匿行為に言及し、「中国政府の『隠滅してから行動をとる』という本能が変わったと信じる人はそれほど多くはない」と、香港や近隣の地域が広東省の男性の死に緊迫する訳を分析した。

1996年、香港で初めて鳥インフルの異種間感染が確認され、鳥類からヒトへのウイルス感染による死亡例が発生した。一方、03年のSARS流行は広東省の生体動物市場と関連しており、全世界約40%のSARSによる死亡例は香港で発生している。これらの背景に加え、不十分な中国政府の対応が香港市民の猜疑心を煽っている。

2日、深セン市疾病予防センターは死亡患者の感染ウイルスH5N1のヒト間伝播を否定しており、中国政府メディアも人々がパニックを起こさぬよう呼びかけている。

数週間後、中国は旧正月を迎える。鳥やアヒルを調理して祝うのが中国人の伝統だ。多くの人々が生きた家禽に接触する可能性があり、鳥インフル感染の可能性が高まることが懸念されている。

 (翻訳編集・坂本)
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