北京市機関紙、総書記を揶揄する社説 専門家「まさに笑裏蔵刀」

【大紀元日本4月8日】北京市機関紙「北京日報」は5日、トップで「総書記の指示を肝に銘じる」と題する社説を掲載した。同紙は3月31日に「党の総書記は最高権力の代表ではない」という胡錦濤・総書記をけん制する内容の文章を出したばかりであり、この総書記関連の社説が再び関心を集めている。

同社説のタイトルは、5日前の文章の論調から一変して胡錦濤・総書記を擁護しているかのようにみえる。しかしその本文を読むと、一味も二味も違うことが分かる。市の環境を美化する植木活動に参加した胡錦濤・総書記に感謝の意を表すとともに、同市共産党委員会から全市の党員、幹部、市民に対して、総書記の植木活動への指示を肝に銘じるよう諭す内容である。わずか千字余りの本文には、「総書記の指示を肝に銘じる」「総書記の指示に背かない」といった文字が4回も繰り返されている。緑化というたわいない内容に釣り合わない大げさなタイトルは、皮肉な意図さえ感じ取れる。

米国在住の中国専門家・石蔵山氏は大紀元の取材に対して、「中国のメディアは厳しく管理されており、党の機関紙が勝手にこのような文章を出すことはまずありえない。北京市のトップ、江沢民派の一員である劉淇・共産党書記の指示であろう。江沢民派と対立する胡・温政権への挑戦状ともいえる」と指摘、「いまの中国の政局は非常に神妙で、まさに笑裏蔵刀(しょうりぞうとう、表では友好を装い、裏で悪意を働くこと)だ」と例えた。

2002年に北京市共産党委員会の書記に就任した劉淇氏が、中央最高政策決定機関「中央政治局常務委員会」の委員でもないのに、なぜ党のトップである胡錦濤・総書記に繰り返し挑発的な態度をとっているのか。中国問題の専門家は次のような見解を示す。

「劉淇氏は、江沢民・元国家主席が発動した法輪功弾圧を積極的に陣頭指揮する一人。彼は一部の国で、法輪功学習者のジェノサイドなどの罪で告訴されている。そして今、中央の江沢民派と胡・温政権の権力闘争が激化している。中共の歴史の慣例をみると、江沢民派が負ければ、法輪功弾圧を支持しない胡・温政権が、13年間続いた弾圧の責任を徹底的に追究するのはほぼ確実である。これは劉氏にとって一番の不安材料であろう。従って、彼は自分の命を守るために頑として江沢民派の陣地を守ろうとする。その点においては、羅幹氏や、周永康氏、そして3月に解任された重慶市トップの薄煕来氏など、弾圧を指揮してきたこれらの江沢民派メンバーらも皆同じ思いであろう。いまの権力闘争は、まさに生死をかけているかのように熾烈だ」

 (記者・穆清、翻訳編集・叶子)
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