軍機関紙は再び胡錦濤支持を宣言、専門家「激戦の前夜」

【大紀元日本4月11日】中国軍の機関紙「解放軍報」は6日の論説で、「軍隊はいかなる時、いかなる状況下でも、党中央、中央軍事委員会および胡主席の指揮に堅く服従する」と再び強調、「騒音に妨害されない、デマに惑わされない、暗流に動じない」を確実に実行すると記した。先月27日にも、同紙が同じ論調の記事を掲載したばかり。2004年に、胡錦濤主席が軍のトップに就任してから2011年年末まで、同機関紙がこれほど胡主席への忠誠心を大々的に表明することはなかった。大紀元時報のコラムニスト夏小強氏は下記の文面で詳しく分析した。

まず「暗流に動じない」の暗流という文言に注目してほしい。中共の歴史とその政治闘争のスタンスを熟知する人ならわかるはず。政府メディアの社説あるいは論説でこのような用語が使われたとき、往々にして熾烈な政治闘争を意味している。

また、ここでの暗流は、胡・温両氏と対立し、劣勢に瀕している江沢民派の懸命な抵抗を指している。両氏は、江沢民派の政権内の代表・周永康氏(中央政法委の書記)だけではなく、江沢民派が長年、中央政法委、各中央政府機関および軍部で築いてきた複雑な人脈と勢力をも取り除かなければならない。胡氏はすでに行動を起こしている。

最近では、軍の元トップ、江沢民・前主席が在任中に抜擢した軍の三大重役、江沢民氏の軍部支配の中枢とされる軍事委員会副主席の郭伯雄氏と徐才厚氏、総政治部の李継耐・主任は相次ぎ、胡錦濤氏への忠誠を誓い、「党最高指導部、中央軍事委員会、胡錦濤主席」の命令を無条件に服従すると繰り返し強調していた。胡氏の第一歩はまず順調に踏み出したのだ。

また、6日、解放軍報が冒頭の文章を掲載してから、当日、軍の最高指導機関「中共中央軍事委員会」は監査チームを結成し、その日に第一回の会議を開いた。同軍事委員会の委員、軍の総務機関「総後勤部」のトップ廖錫竜・部長は、同監査チームの成立は胡錦濤主席と中央軍事委員会の重要な決定であるとし、軍各機関に対して、完全に服従し執行するよう指示した。

これから読み取れるのは、胡錦濤氏が軍部を整理し汚職を取締る名目で江沢民派の人脈を完全に取り除こうとしていることであろう。

またなぜ、軍はそれほど大々的に胡錦濤氏への忠誠心をアピールし始めているのか。

原因の一つは、胡錦濤氏が以前、軍の実権を握ることができなかったからだ。しかし、控えめな性格である胡氏は、軍を実質的に支配できても、このように派手に顕示したりはしないはず。やはり、政局に押されてそうするしかないからだ。つまり、軍のバックアップがあって初めて政治闘争の相手を粛清する運動を引起こせる。毛沢東・元国家主席が文化大革命を発動したのも、_deng_小平氏が開明派の反対を押し切って六・四天安門事件を武力弾圧できたのも、軍の支持があったからこそ実現できた。

いまの中国の政局の情勢は、まさに激戦の前夜である。胡・温両氏と江沢民派はそれぞれ水面下で準備を着々と進めている。どのタイミングで双方が公で闘争を繰り広げるのか、すでにカウントダウンに入っているであろう。そして、どちらが先制攻撃に出るのかも注目すべき点だ。

(翻訳編集・叶子)
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