<赤龍解体記>(94)人民日報、薄氏を猛批判 薄事件、初審から最高裁か

失脚後も重大な疑惑が絶えない薄煕来氏(Getty Images)

【大紀元日本12月3日】18歳の少女との情事動画がインターネットで暴かれたことにより、重慶市北碚区の共産党委員会書記の雷政富氏が異例の速さで免職された。この事件は、重慶市元トップの薄煕来氏ともかかわっていたことで、大いに注目されている。

中国共産党の機関紙・人民日報ウェブ版は1日、「空論を根絶 党風改善に先ず表現を是正すべき」という文章を掲載し、習近平総書記の談話を「短くして適切」とし、同氏の「空論が国を誤る」論を褒め称えた。一方で、薄氏や雷氏らは空論をもって真相を隠ぺいし、天下の正義を掌中に握るような良い体裁をつくろいながら、実際は陰で天に背き道理をゆがめ、汚い手段で私利に走っていると激しく批判した。

その「汚い手段」は、雷氏の動画騒ぎからもうかがえる。問題の動画で揺すりをかけられた雷氏は当時の上司となる重慶市トップの薄氏に告白していた。だが、薄氏は、部下の処分を棚上げし、事件の処理を当時の王立軍公安局長(現在別件で懲役刑を受け服役中)に一任した。動画関係者らは懲役1年などの厳しい刑罰を受けたが、主人公の雷氏はその翌年、副書記から書記へと栄転した。

2009年のこの出来事がいま掘り起こされ、一旦は没された情事動画がネット上で拡散し、さらに、人民日報まで動いたという一連の動きは失脚した薄氏に照準を向けているようだ。雷氏の動画を公開した人民監督網の朱瑞峰さんによると、この動画は党大会開会前の11月4日に、重慶市公安局の内部の人物から受け取り、党大会前に公開するよう頼まれたという。

朱さんはさらに、共産党政治局のある常務委員がすでに、彼を守るよう関係部門に指示したと明かした。また、公開してはいけない部分も高層部にほのめかされており、事件の裏に指導部が手綱を引いていることが浮き彫りになった。

朱さんが動画を公開し、自らが運営する、「幹部の不正を暴露する人民監督網」に対する検索エンジン「百度」の長らくの封鎖も、11月28日に静かに解かれ、多くの訪問者を迎えている。

習総書記は就任後、腐敗是正を最初の政治課題として挙げている。共産党の規律検査委員会トップで新常務委員の王岐山氏も赴任して間もなく、かつて薄氏に立ち向かった李荘・元弁護士の案件の再審理に着手している。そして、重慶市トップに赴任したばかりの孫政才氏の第一戦のスタートは、薄氏と深くかかわった雷氏倒しとなった。

薄煕来事件は最高人民検察院(検察庁)の審査を経て、10月末に立件されている。その後の動向から、同事件は最高人民法院(最高裁)で裁かれるのではとの見方が出ている。そうなれば、薄事件は「四人組」裁判後、第一審から最高裁で行う初めての裁判となる。

(翻訳・呈工、編集・張英)
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