「中国のGDP、1兆ドル水増し」 専門家、当局統計のウソに切り込む

【大紀元日本9月6日】北京大学HSBC経営大学院のクリストファー・ボールディング准教授は8月、「中国の経済データはどれだけ水増しされたのか?少なくとも1兆ドルだ(How Badly Flawed is Chinese Economic Data? The Opening Bid is $1 Trillion)」と題する論文を発表し、中国の実質国内総生産GDP)は当局の統計より1兆ドル少ないと分析した。

32ページに及ぶこの論文は、中国国家統計局が発表しているデータと第三者機関のものと比較し、当局の統計データが信頼出来ないことを明白に示す例を挙げた。

中国統計局データでは、中国の民間住宅の販売価格は2000年から2011年の間に累計で8.1%上昇し、都市部では5.99%しか上がっていないことを示している。公式インフレ率を考慮すると、実質20%近い下落になっている。だが、ほぼ同時期における35主要都市の不動産価格指数は約3倍に跳ね上がっていることが清華大学の研究で明らかになっている。

またこの10年余りでは、農村部から都市部へ人口が大移動しているのに、都市部の住宅価格よりも農村部の価格がはるかに上昇していることは不可思議だとボールディング氏は疑念を呈した。

一方、統計局データでは、賃貸価格は販売価格よりも1.5倍の値上がり率を示している。ただ中国では住宅の賃貸率はわずか12%にとどまっていることから、影響は小さいと統計局。しかし、出稼ぎ労働者だけ見ても、毎年人口の17%を占める2億3000万の人が農村部から都市部に働きに出ているため、12%の賃貸率は甚だ疑問だとボールディング氏は指摘。12%という数字は、国民大多数に影響していないことをアピールするために作り上げたものだと氏はみている。

これらのデータはまた、都市人口と農村人口の比が8対2をベースに算出している。しかし実際、2000年では、3分の2の持ち家は農村部にあり、2011年でも、約半分の持ち家は農村部にある。都市人口をかさ上げするのは、生活費平均の増加などを少なめに算出するためだとボールディング氏は分析した。

中国はここ十数年、マネーサプライを増やし続けてきた。住宅価格だけ見ても、第三者機関のデータはより信用できるとボールディング氏は断言。修正後の数値や実際状況に合わせた居住地分布値などを用いて「より正確に」計算しなおしたところ、中国の毎年のインフレ率は少なくとも統計局データより1%増えることになるという。それはつまり、2000年から2011年までの実質GDPは1兆ドル以上、公式データより目減りすることになるとボールディング氏は結論づけた。

中国の統計の信頼性については、現首相の李克強氏自らがかつて疑問を呈したことがある。内部告発サイト「ウィキリークス」が2010年に公開した米外交公電によると、李氏は2007年、遼寧省で党委書記を務めていた時、当時の駐中米国大使に、GDPは「人為的なもの」で信頼できないと話した。李氏は当時、省の経済を査定する際に注目するのは、電力消費や鉄道貨物取扱量、銀行融資の3つで、「他の統計、特に国内総生産(GDP)は参考にする程度だ」と笑いながら話したという。

(翻訳編集・張凛音)
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