〈評論〉防空識別圏問題、中国は如何に収拾するか?

【大紀元日本12月2日】中国政府が東シナ海に防空識別圏を設定したと発表した三日後にアメリカ、韓国の空軍機、日本の自衛隊機が事前通告せずに相次いで中国の防空識別圏に入っていった。日米韓の強硬姿勢に対して中国政府は周章狼狽してしまった。今まで自ら育てた反日・反米感情から生まれた虚栄心を満足させるため、より大きな虚言を余儀なくされた。中国政府は11月29日、日本の自衛隊機に対し緊急発進したと発表した。翌日30日、小野寺防衛相は「警戒監視をお互いにしているから、どこにどのくらいの航空機が飛んでいるかを常に把握している。中国が発表したような、航空機に接近する特異的な状況はない」と否定した。このようなペテンは去年9月17日にすでに上演していた。

昨年、日中間に尖閣諸島をめぐり対立と緊張が高まる中、満州事変勃発81周年の9月18日に合わせ、前日の17日に「尖閣諸島を取り戻す」と決起集会を行った後、浙江省と福建省の港から千隻を超える中国漁船が出発し、尖閣諸島に向かった。日本国内は一瞬緊張の空気に包まれた。27時間後には、ほとんどすべての日本国民が目を凝らして尖閣諸島の情勢を注目していた。なんと尖閣諸島に到着したのは中国農業部漁業局所属の漁業監視船1隻と国家海洋局の海洋監視船8隻であった。民間の漁船は一隻もなかった。結局、17日に行われた決起集会は国内向けのパフォーマンスに過ぎなかった。ネット上には、中国の漁船が使った中国製のナビに問題が起き、皆迷子になったではないかとの皮肉なコメントが相次いだ。今回の中国機の緊急発進もおそらく同様の国内向けのパフォーマンスであろう。

今回の防空識別圏の設定は、実は国民の視線を国内で解決できない矛盾から海外に目をそらすために、日本をターゲットにわなを仕掛けたものである。なぜ日本をターゲットにするのか?日本は中国共産党にとって都合のいい存在であり、今まで教科書、靖国神社、尖閣諸島などの問題において日本が示した柔軟な対応はしばしば中共を助け、様々な危機から抜け出させたからである。ゆえに今度の事件でも中共は同様にターゲットを日本に定めた。このことは各国の反発に対する対応からも形跡を伺える。中国政府が防空識別圏の設定発表後には、アメリカ、日本、韓国、オーストラリア、台湾などの周辺国々から大きな反発を招き、アメリカ、韓国の空軍機、日本の自衛隊機が中国の防空識別圏に入ったが、中国国防省の報道官は「まず日本が自国の防空圏を撤回せよ」と日本に対決姿勢をあらわにした。韓国の反発に対しては遺憾の意を表しながら、「中韓は友好的な隣国だ。対話を通じて平和と安全を維持したい」と中国外務省の報道官は韓国に友好的態度を示した。日韓以外の国の反発に対する中共の反応はそれほど激しいものではない。現在は従軍慰安婦問題で日韓間の対立が深まっており、中共がこの隙に乗じて韓国を丸め込み、中韓の反日感情を利用して日本を叩き潰そうとしている。韓国の反感を買うことを承知したうえ、あえて韓国領の離於島を新しい防空識別圏に入れた。なぜなら中共は韓国が日本を叩き潰したいという強い気持ちを持っていると信じるからである。しかしながら、中共が思いもよらなかったのは韓国が中共の意図を無視し、強硬な姿勢を見せた。これが遺憾の意の真意であろう。

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