【大紀元日本5月5日】科学の進歩によって、快適で便利な生活を送る私たち。その裏には、科学者たちの涙ぐましい努力があります。何度も失敗を乗り越えて、成功を導きだすには、常識を疑ってみるのも必要です。過去の「常識」が現代の「非常識」になった例を集めてみました。

1.手を消毒しない医者

医者が手を消毒するのは当たり前。ところが、150年前、センメルヴェイス・イグナーツ(Semmelweis Ignaz)が提唱したこの説は、当時の科学者や医師たちから否定された。彼は当時通っていたウィーン大学で、医療器具や医師の手から患者に病気が感染することを訴えたが、嘲笑された。彼はブタペストにある病院に移った後、塩素水による手洗いと消毒を遂行し、産褥熱による妊婦の死亡率が記録的に下がったのを発見した。彼は自分の信念に自信を持つようになったが、当時の学会からは排斥された。

2. ネズミはチーズから生まれる

17世紀まで、動かない物体でも生命を生むことができると信じられていた。ブリタニカ百科事典によると、当時は暗がりの隅っこに置いたチーズとパンは、ネズミを「引き寄せる」のではなく、「生み出す」と信じられていたという。同様に、腐った肉はウジを生み出すと信じられていた。フランチェスコ・レディ(Francesco Redi) は17世紀、瓶に入れた肉と外に晒した肉を比較して実験を試みた。その結果、瓶に入った肉にはウジが湧かず、肉自体がウジを生み出すのではないことを証明した。ウジは、ハエが肉に卵を産みつけることによって湧く。

3. タバコが病気を治す

英国王立医学会 (Journal of the Royal Society of Medicine) に寄稿された論文によると、1665年、ロンドンで疫病が流行った頃、子供たちはタバコを吸うことを奨励された。16世紀、ヨーロッパでは医師によりタバコが広く処方され、癌を含む多くの病気を治すと信じられていた。

4. 未知の生命・細菌

多くの科学者たちは、微小な細菌が病気を引き起こし、人間を死に至らしめるということが信じられなかった。ルイ・パスツール(Louis Pasteur)は最初、この細菌説を唱えたが、嘲笑された。後に、彼は熱によって細菌を死滅させ、病気が予防できることを証明した。また、彼はワインや牛乳の発酵に細菌が関係していることをつきとめ、それらの腐敗を防ぐ「低温殺菌法」を開発した。

5.宇宙のダーク・マター

フリッツ・ツビッキー(Fritz Zwicky) は1930年代に既に、宇宙のダーク・マターについての理論に言及していた。彼の理論には懐疑的な科学者が多く、40年もの間、無視された。彼の孫は2010年、カリフォルニア工科大学のジャーナルに宛てた手紙で、次のように書いている。「祖父の理論は、多くの人の憎悪を掻き立ててしまっただろう。なぜなら、同僚の科学者らは99%の宇宙を理解しておらず、彼らが見ているのは、ドアの前に落ちているホコリの塊を見ているにすぎないと言ってしまったのだから」

6. 瀉血

中世ヨーロッパでは、病気治療の一環として広く瀉血が行われていた。一部の医師は、20世紀に入ってもこの方法を取っていた。アメリカの元大統領、ジョージ・ワシントンは咽頭炎を治すために瀉血による治療を受け、大量失血して亡くなったと伝えられている。多くの患者が瀉血によって亡くなっている。

7. 大陸移動

ドイツの気象学者アルフレート・ヴェーゲナー(Alfred Wegener)は、1912年、大陸は地球の表面で徐々に移動したという「大陸移動説」の仮説をうちたてた。彼の仮説は懐疑派から批判を受け、1950年に新たな証拠が示されるまで、認められなかった。

8. 天動説

地球は宇宙の中心にあり、太陽やその他の恒星が地球の周りを回っているとする「天動説」。これは物理学を根拠としているわけではなく、人間が万物の長であるという説から信じられていた。16世紀、コペルニクスは太陽を中心に、地球が自転しているという「地動説」を唱えた。17世紀になって望遠鏡が発達し、ガリレオ・ガリレイ(Galileo Galilei)がコペルニクスの説が正しいと主張したが、当時の教会からは異端者として批判された。

9. 遺伝学

19世紀まで、子が親に似るのは、子供が両親からそれぞれなんらかの液体を受け継ぎ、それが交じり合って親の特徴を受け継ぐと信じられていた。一方、グレゴール・メンデル(Gregor Mendel) はエンドウマメの交配実験を通して、遺伝には遺伝粒子(後の遺伝子)が存在すると唱えた。メンデルの死後、彼が唱えた「メンデルの法則」は多くの科学者たちに注目され、メンデルは遺伝学の父と呼ばれるようになった。

10. 地球は平面

長い間、地球は平坦だと信じられていた。一方、古代ギリシャのピタゴラス(Pythagoras)とアリストテレス(Aristotle)は、世界は丸いと主張した。聖書に書かれている、「大地の四隅」という文言から、地球は平坦だという概念が定着していた。

科学哲学ミネソタ・センターのダグラス・アルキン氏は、「科学とは、間違えることである」と話す。誤りから学ぶことは発展の一部であり、前進するということは、古い見方を捨てて、新しい見方を得るということだ。今の科学の「常識」は、いつかは愚かに見えるかもしれず、また現在、批判されている科学者の主張が見直される日が来るかもしれない。

(翻訳編集・郭丹丹)