伝統文化復興の芸術公演 中国政府の妨害工作の数々

【大紀元日本2月26日】中国共産党専制体制下で失われた中国五千年の伝統文化を舞踊などの芸術形式で復興する神韻芸術団。中国共産党のイデオロギーと根底から対立し、本土の法輪功学習者への弾圧も舞台で再現していることから、中国政府が「反体制勢力」と見なし、執拗な公演の妨害工作を続けている。

中国在外公館は、ほぼすべての開催国政府と劇場、スポンサーに対し「中国との外交関係が厳重に損なわれる」「中国とのビジネスを禁止する」などの圧力をかけ、公演の中止を要求してきた。劇場には匿名の脅迫メールや電話、怪文書が送られた例もある。

芸術団員など関係者の命を狙った凶悪事件も続発し、最近では、オンラインでチケットを販売する芸術団公式サイトへの大規模なサイバー攻撃も受けた。

大多数の国は中国政府の無謀な要求に応じていないが、ロシアなど欧州の一部の国や、韓国、香港、マレーシアでは、中止になるケースも発生している。

ビザ取り消しや劇場キャンセル

2008年には、デンマークのコペンハーゲン、ロシアのセントピーターズバーグでの公演、2010年には、ギリシャのアテネ、モルドバのキシニョフ、ウクライナのオデッサ、ルーマニアのブカレストでの公演が、ビザの取消や、劇場の契約破棄により中止に追い込まれた。

発売直後に7公演のチケットが完売し、本土からも注文が殺到したという2011年1月の香港公演は、開演5日前、香港当局は米国からの舞台制作チーム全員のビザを交付しないと通達し、本土初となるはずだった公演は実現しなかった。

2008年のマレーシア公演はチケット完売直前に同国教育部(文部省)が傘下の劇場を提供しないと宣告し、中止となった。

韓国では、2007年のソウル公演と2008年のプサン公演は劇場側の契約破棄により直前に中止。2009年のソウル公演も公演数日前に劇場が使用許可を撤回したが、開演前日の裁判所の判決で劇場側が敗訴し、公演は予定通り開催した。

日本でも中国大使館の裏工作が続いている。2007年から毎年開催している日本公演には、在日中国大使館から劇場への圧力が絶えず、劇場への匿名嫌がらせ電話や、協賛団体や企業に対する圧力が続いている。

2013年4月初旬には福岡県内の市の関係者宛てに、駐福岡中国領事館の李天然総領事の署名付き文章が届いた。同年5月の同福岡公演への後援、宣伝報道の中止を求める内容だった。

2014年12月、産経新聞は同12日付けで、神韻公演劇場の東京文化会館や新国立劇場に、中国大使館関係者から「劇場の提供中止」を要求があったことを報じた。劇場関係者は「日本には表現の自由がある」として、この要求に応じていない。

神韻関係者を襲う バス破壊工作

スタッフのバス移動が中心の米国とカナダ公演期間中には、バス破壊工作が相次いだ。2月19日、シカゴ公演の宣伝カーである大型トラックのアクセルとブレーキに、強い腐食性の液体がかけられていたのが乗車スタッフにより確認され、さらにトラック車体底部にあるアクセルに繋がるコードがナイフで一部切断されていたという。

タイヤやガソリンタンクの破損など、同様の事件は過去にも起きている。2010年1月13日、オタワ公演に向かう芸術団員の乗るバスのタイヤに、何者かがナイフで深く切り付けた痕があった。この異変は乗車員が走行前に気づいたため、事故は起こらなかったものの、現場を検証した専門家は「走行中にタイヤがパンクし、バスが横転するなど大事故が起きかねない」と危険性を述べた。

2013年1月10日、米アトランタ公演期間中には、芸術団のバスのガソリンタンクが破壊されたのを、発車前の点検で確認された。いずれも警察が事件として扱い、捜査している。

オンラインチケット販売を阻止するサイバー攻撃

1月5日と7日に、公演の紹介やチケット販売などを行う芸術団の公式サイトが大規模なサイバー攻撃を受け、閲覧しにくくなった。調査を行った専門家チームは「攻撃は中国から」と結論し、芸術団は米国連邦警察(FBI)に報告した。

ニューヨークを本拠地とする神韻芸術団は、海外の華人アーティストが中国共産党専制体制下で破壊された中国5千年の伝統文化を復興するために設立した。2006年の初舞台以来、毎年20数カ国の100以上の主要都市でおよそ400回の公演を開催している。公演の主催者は主に、伝統文化ヘの回帰を促す各国の法輪功関連団体である。

中国大陸では見られない公演 著名アーティストが絶賛

中国各民族各時代の舞踊・舞踊劇、古典楽器の演奏などの舞台芸術を通して、「仁・義・礼・智・信」という伝統の道徳的価値観を表現している神韻は、伝統文化を否定する中国共産党政権下の中国大陸では見ることが出来ない。一方、世界各地の公演では、著名アーティストから絶賛を受けている。毎年、ニューヨークのリンカーン・センターや、ハリウッドのドルビー・シアター、ロンドンのロイヤル・フェスティバル・ホール、台湾の国立国父記念館など世界各地の一流劇場で上演し、満員御礼が続いている。

米ロサンゼルスで1月23日の公演を観賞した米有名脚本家兼プロデューサーのロバート・シンガー氏と夫人は「舞踊と立体動画スクリーンの融合は創意的」「中国伝統文化のルーツを発見できた」などと感想を語った。

90年代で大活躍したハリウッド女優ミシェル・バークさんは母親とともに、会場に足を運んだ。観賞は2回目という彼女は「舞台が表現している優美な文化と歴史はとても素晴らしい。スケールが壮大過ぎて、感情が高ぶった。来年もまた観る」と述べた。

米演劇界の最高賞「トニー賞」を6回受賞したブロードウェイの大物監督、プロデューサーのステュワート・レーン氏は夫人と共に鑑賞。「もっとも優秀な制作技術で、もっとも最高の舞台」「独特な芸術スタイルで、幻想的な世界を現実化した」「言語と文化の壁はまったくなく、とても理解しやすい」などと賛辞を送った。

2015年の日本公演は4月14~21日に、東京文化会館と兵庫県立芸術文化センターで11公演を開催する予定。

(翻訳編集・叶子)