【名言警句】 朱に近づく者は赤くなり、墨に近づく者は黒くなる

「近朱者赤 近墨者黑」。これは孟子の言葉で、出典の『孟子』は戦国時代の中国の儒学者である孟子(もうし、紀元前372年~紀元前289年)の言行をまとめた本です。「朱に交われば赤くなり、墨に交われば黒くなる」、つまり「悪い人に近づく者は悪人になり、良い人に近づく者は善人になる」とも理解できます。周囲の環境は、人間にとって非常に強い影響力があることを意味しています。

 教育現場では「学級崩壊」という現象が度々話題になり、青少年犯罪のニュースも後を絶ちません。人々は思わず「今の子どもたちはどうなっているのか」と言いたくなるかもしれませんが、その前に青少年を教育する社会、家庭、学校の環境はどうなっているのかを考えなければなりません。

 生まれたばかりの赤ちゃんの脳は白い紙のようなもので、善の考えもなければ悪の考えもありません。周りの環境によって、その白紙の脳に徐々に色が付いてしまうのです。そして、付けられた色は次第にある種の観念を形成します。これらの観念は、子どもの人生観、価値観、倫理観、道徳観を決め、その人間の言行を左右することになります。

 社会は「染物がめ」の作用があります。甕(かめ)に入っている者がその色に染められないように抗ってみても、それは無理な話です。子どもの教育は社会全体の責任であり、誰もが皆その一端を担っているということを自覚しなければなりません。
 

(文・学)