中国で続く江沢民告訴ラッシュ 米有識者「大審判の序幕か」
【大紀元日本6月24日】中国で5月1日から刑事事件立件緩和の司法制度改革が実施されてから、法輪功(伝統気功)弾圧の刑事責任を追及するとして元最高指導者・江沢民氏を告訴した人が約1万人に達した。こうした中、大紀元米本部は法輪功弾圧問題に詳しい各方面の有識者を取材し、この動きへの見解などを尋ねた。
法輪功の情報サイト「明慧ネット」の集計によると、18日までに中国各地の法輪功関係者9729人が最高人民検察院などに同告訴状を送った。その大多数は信仰を放棄しないため刑務所などに収容された人や、拷問などにより死亡した人の遺族だという。告訴の理由は「ジェノサイド(集団虐殺)」「拷問」「職権乱用」「違法拘禁」などである。
江氏は1999年7月、当時約1億人の愛好者がいるとされる伝統気功・法輪功への弾圧を命じた。法輪功側は「16年の間、大勢が投獄され、名前が判明している死者は4千人近くに達し、実際の死者数はそれより遥かに膨大である」と主張し、長年、国内外で弾圧の停止を求める活動を続けている。内部告発や第三者調査などにより収容中の愛好者を処刑し臓器を収奪・密売する組織ぐるみの臓器狩り疑惑も強まっている。
2005年豪州政府に政治亡命した元外交官、駐シドニー中国総領事館の一等書記官の陳用林氏(47)は在任中、豪の同愛好者を監視する任務を担当しており、弾圧の実態をよく知る人物である。今回取材を受けた陳氏は「臓器狩りは事実である可能性が高いです。ヒトラーによるユダヤ人大虐殺と同様、将来真実が明るみになるでしょう」と語り、江氏告訴について「非常に勇気が必要ですが然るべき行動です。後世のためにも、自他の権益を守るためにも、中国人はこれ以上沈黙してはなりません」と支持を示した。
アメリカの名の知れた中国問題専門家で、有名シンクタンク「ブルッキングズ研究所」の元研究員イーサン・ガットマン(Ethan Gutmann)氏も取材に応じた。「弾圧は江沢民一人の力で実行できることではない、共産党体制そのものが裁きを受けるべき」と述べた同氏は、「いまの動きは、無期懲役刑を受けた元最高指導者メンバー周永康を含め、弾圧と臓器狩り参加者全員の罪を裁く大審判の序幕になるかもしれない」と予測した。
ガットマン氏は昨年8月、同愛好者に対する臓器狩りの証言・証拠を収録した自著「大虐殺」を出版、「多くの民主国家のマスコミは中国政府の圧力に恐れて法輪功弾圧問題を避けているが、私は真実を国際社会に発信する使命感を感じています。そうしないと悔いが残ります」と語っていた。
香港在住の故趙紫陽・元総書記の秘書・鮑彤氏は電話取材でこう述べた。「当時の朱鎔基・首相が党機関紙・人民日報で『法輪功は合法だ』と明確に表明したにも関わらず、総書記の江沢民氏は直後に政権内部の反対意見を押し切って弾圧を発動しました。国家を完全に私物化した行為であり、その刑事責任を追及するのは至極当然のことです」
5月はじめから大量の告訴状を受けた最高人民検察院はいまだ反応を示していないようだ。大紀元米本部が入手した内部情報によると、中国司法部のトップ呉愛英部長(長官)はこのほど電話会議を召集し、全国範囲で弁護士を対象とする「法律教育」の実施を命じた。告訴に法的支援を提供する弁護士が増えているのを抑止するためとみられる。
明慧ネットによると、江沢民告訴が理由で逮捕された人もいる。
(報道・大紀元米本部取材班、翻訳編集・叶子)