北京は監視社会 「ビッグブラザー」は市民のすべてを見ている
北京公安当局は1日、同市内の「いたる所」に監視カメラを設置し、さらに4300人のモニター監視係を設けたと発表した。その範囲は「首都の100パーセント」としている。
北京の監視社会は、独裁体制下の社会でプライバシーのない悪夢を著した、ジョージ・オーウェル氏の小説『1984』(1949年刊行)を思わせる。「ビッグ・ブラザー」は、作品に登場する独裁者。転じて、国民を過度に監視する社会や制度を指す。
監視カメラは、ビジネス街や市場、公園、学校、バス停など、大勢の人が行き交う場所を見張る。近くの街灯や信号機、電柱に取り付けられている。
北京警察によると、監視カメラには、有人による24時間体制の監視と、個人の顔を識別するシステムが備わっている。
中国共産党は、犯罪防止活動の一環として、安全保障策に努力を注いでいることを国内にアピールしている。しかし、当局の監視が強い国では、反体制派の活動家や市民を取り締まるために利用されることがある。
米国公共ラジオ・NPRによると、中国共産党は2005年から「天網(スカイネット)」と呼ばれる全国的な監視システムを始めた。何十万台ものカメラは、政府機関や公共施設の近くに取り付けられた。
香港の新聞・明報によると、北京では夏季オリンピックが開催された2008年、すでに30万台が備えられた。2010年には40万台。今年5月、北京警察によると、さらに3万台が追加されたという。
北京の民主活動家・胡佳氏は米政府系ラジオ・フリー・アジアの取材で「巨大な監視システムにより、私たちの屋外の行動はすべて見張られている」と述べた。
カナダ拠点の中国語ニュースサイト・万維読者ネットは2014年、中国政府は個人データを収集するため「長城(ビッグ・インテリジェンス)」という秘密の監視プログラムを備えていることを伝えた。
(翻訳編集・佐渡 道世)