薬用植物 ヒガンバナ
ヒガンバナ(彼岸花)は中国では石蒜(セキサン)、曼珠沙華(マンジュシャゲ )と呼ばれます。秋分の日の前後7日間を秋の彼岸と言いますが、ヒガンバナは見事にこの時期に合わせ、花を咲かせます。日本でよく見られる赤いヒガンバナは三倍体植物で、遺伝的に種子が出来ない品種です。しかし種子ができることも稀にあり、記者も見つけたことがあります。種子から芽が出る可能性は低く、発芽率が良くありません。多くのヒガンバナは、親と同じ遺伝子を持つ鱗茎の分裂によって株を増やし続けてきたのでしょう。
鱗茎を叩くと刺激のある独特の匂いがしますが、これはリコリンやホモリコリンなどのアルカロイド成分が含まれているためです。毒の他にデンプンも含まれるため、飢饉の時には鱗茎を叩いて有毒成分を流水に晒して除き、沈殿したデンプンだけを取り出して食べたそうです。毒を含む鱗茎をモグラが嫌がって近寄らないため、ヒガンバナを稲田の畦に植えると土留となり、土が流れにくくなります。
足の裏にヒガンバナの鱗茎を砕いたものを貼り付ける民間療法があります。また、膝の痛みや腫れ、腹水を取る療法も伝承されています。有毒植物なので服用すると粘膜を刺激し、吐き気を起こすため注意が必要です。
関連記事
抜け毛や白髪は年齢だけの問題ではないかもしれません。中医学では、髪の状態は「腎のエネルギー」と深く関係すると考えられています。下半身の簡単なストレッチが、髪の健康を支えるヒントになる可能性も。
冬は気分の落ち込みや筋骨の弱りを感じやすい季節。チンゲン菜・しいたけ・厚揚げを組み合わせ、肝の滞りをほどき腎を養う冬向きの養生料理を紹介します。
現代科学と中医学の知恵をつなぎ、ポリフェノールが炎症や老化にどう働くのかをわかりやすく解説。お茶や果物が「巡り」を整える理由が腑に落ちる一読の価値ある内容です。
冬は血管が最も詰まりやすい季節。中医学では「寒すれば血は凝る」とされ、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まります。そんな冬の心脈を守る鍵が、りんごとサンザシ。自然の力で「温めて通す」養生法を紹介します。
胸痛は狭心症や心筋梗塞の前兆で、放置すれば命にかかわります。血栓を防ぐ薬膳2選と、心臓を守る4つの習慣を紹介。胸の痛みや息切れなどのサインを見逃さないことが重要です。