食の安全不信

中国人留学生 ドイツで粉ミルクを買い占め

中国人の食品に対する不信感は根深い。特に粉ミルクは赤ちゃんの死亡事故が起きたこともあり、安全な欧州産の需要が高く、高値にもかかわらず売れているという。そんな中、中国人留学生が、国内への転売目的で現地のスーパーで粉ミルクを買い占めるという事態が起きている。

先日、ドイツ地元の新聞の一面に、「粉ミルクが中国人に買い占められた」との記事が、掲載された。この記事によると、この中国人による粉ミルクの大量購入によって、ドイツの赤ちゃんの分の粉ミルクの不足が懸念されているという。

この問題について、駐ドイツ中国大使の史明徳氏は10月28日、メディアの取材に答え「一部の中国人留学生は真面目に勉強せず、粉ミルクの代理購入に没頭している」と、留学生の関与を認めた。同日の台湾・中央社の報道によると、その中には国外退去になった留学生もいるという。

また史大使は「根源は中国本土の食品安全の欠落」とも指摘し、「中国企業は最低限のモラルを守り、消費者の信頼を得なければならない」と述べた。

2008年、中国本土で起きた「毒粉ミルク事件」が原因で、中国人は外国産の粉ミルクを求めるようになった。なかでもオーストラリアやオランダ産の粉ミルクの人気が高い。現地では闇取引も横行し、窃盗事件も多発している。オランダ警察によると、粉ミルクの需要量が供給量をはるかに上回り、犯罪グループはこれで高い利益を得ているという。

世界最大の食糧生産国となった中国だが、毒粉ミルクのみならず、異物混入の加工肉、カドミウム汚染米、地溝油(ドブ油)、工業用のニセ食塩など、危険な食品には枚挙にいとまがない。

米通商代表部で中国問題に詳しいアミー・セリコ氏は、中国の食品安全問題について、法の不整備と当局の監督不足が背景にあると指摘している。

(翻訳編集・山本アキ)

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