中国銀行業収益激減、金融派生商品投資拡大
中国四大国有銀行が10月末発表した1~9月期決算報告によると、国内の景気低迷で同期の増益率は1%台に下回った。11月1日付「華爾街見聞」が報じた。
四大国有銀行の中国銀行、工商銀行、建設銀行と農業銀行の決算報告書によると、前年同期比でそれぞれの増益率は0.79%、0.65%、0.73%、0.57%になった。中でも、中国銀行の7~9月期連結決算は前年同期比で純利益は1.5%減の407億元(約7733億円)になった。工商銀行も同8%減少したという。
また4行の連結決算報告をみると、不良債権比率に関して農業銀行が2.02%と2%台を突破したほか、工商銀行、建設銀行と中国銀行は平均的に1.45%前後になっている。しかし、国内外の専門家は当局の公表に不信感を示している。CLSA証券は10月中旬に発表した研究報告において、中国銀行業の不良債権比率は8.1%以上で、政府当局の公表した1.5%よりも6倍近く高くなっているとの見解を示した。また、中国のシャドーバンキング問題に詳しい朱夏蓮氏はブルームバーグ(10月30日付)に対して、中国銀行業の不良債権比率は20~21%、もしくはその水準を上回っていると発言した。
一方、景気不況で収益が大幅に減少した中国金融業は収益性の高いシャドーバンキングの金融派生商品への投資を拡大している。11月1日付ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙によると、中国四大銀行を含む多くの金融機関はこれまで、信託投資、信用担保などシャドーバンキングの金融派生商品に投資してきた。中国招商銀行の今年1~9月期の投資収入は前年同期比58%増。主に信託受益権との金融派生商品に投資してきた。また「定向資産管理計画」(日本の投資一任運用商品に相当)を運用してきた中信銀行の投資収入も同32%増になったという。WSJは専門家の話として、シャドーバンキングの金融派生商品は中国金融機関の投資収入の4分の3を占めてしているとした。
また、WSJは「これらの投資項目はバランスシートに記入されることがなく、識別かつ評価しにくく、債務不履行を防ぐことも難しい」と指摘した。金融大手UBSグループにより、シャドーバンキングの金融派生商品の資産品質が悪化し続ければ、貸付準備金への圧力が強められることが示された。中国の金融機関がシャドーバンキングの金融派生商品への投資を増やすことで、金融危機が発生する際、これらの資金が市場に流れることが難しく、リスクを増やすこととなるとWSJは警告した。
(翻訳編集・張哲)