米国務省 中国は「要特別注意の国」
米国務省が世界各国の宗教の自由度を検討した、世界の信教の自由に関する年次報告書2014年版が10月14日に発表された。報告書では中国を再び「要特別注意の国」のリストに挙げ、中国に信教の自由の保障を勧告している。
「中国憲法が公民には『宗教信仰の自由』があると定めているにもかかわらず、中国共産党は国家権力を行使し、宗教活動や個人の自由を厳しく制限している」と報告書は指摘する。中国当局がキリスト教とカトリック教の団体、ウイグル族のイスラム教徒、チベット仏教徒、法輪功の活動等を抑圧している現状を非難し、改善を呼びかけた。
関連報道によると、中国当局は残虐な拷問、拘束、逮捕、刑罰等で宗教団体信者を迫害し、信仰を放棄させて宗教活動に関わらないよう強制しているという。河南省の張少傑牧師は自身のコミュニティで教会活動を推進したことにより、12年の懲役を科された。地方政府は信者に抗議集会をさせないよう、教区内の教会を閉鎖している。阿里木江さんは政府に登録されたキリスト教会のウイグル族の指導者で、「国家機密を外国の情報機関に提供した」との理由で15年の懲役を科された。ある人権組織からの情報によれば、彼は劣悪な生活環境の刑務所に収監されているという。
同報告書には「全国人民代表大会常務委員会は2013年12月、労働教養制度の廃止を承認した」との記載があるが、ある人権団体の報告では強制労働収容施設はその名前を変えているだけで、依然として宗教関係者や精神団体のメンバーを拘束する目的で使用されているという。当局は法律の規定に反し、これらの施設で拘束された人に強制的に信仰を放棄させているのだ。特に法輪功の学習者に対しては「思想の改造」を強要している。
また別の関連報道によると、中国共産党当局は公安部で直接管理している23カ所の精神病院(安康施設とも言う)を利用し、宗教信仰者と法輪功学習者を病院に拘禁し、強制的に向精神薬を飲ませたり、電気ショックを加えるなどの手段で、信仰を放棄させるための迫害を行っている。
2014年3月、「法制教育基地」で拘束されている法輪功学習者が受けた虐待を調査した中国の人権派弁護士、張俊傑さん、江天勇さん、王成さん、唐吉田さんらが黒竜江省で拘束された。江天勇さんは警官に暴行され、手錠をかけられたまま吊り上げられた。同じく人権派弁護士である高智晟さんは、当局のキリスト教信者や法輪功学習者に対する迫害に抗議したため、3年間監禁された。
共産党当局は、信仰の自由を主張する弁護士には弁護士免許の更新を許可していない。また、宗教信仰者のための弁護を阻止するため、弁護士本人を拘束する以外に当事者及び弁護士の家族(未成年の子供を含む)に対しても嫌がらせや拘束などの手段を行使している。
(翻訳編集・剣持)