米中首脳会談前 習近平が北朝鮮に接近 影響力固めか

2026/03/15 更新: 2026/03/15

2022年のロシアによるウクライナ侵攻以降、北朝鮮はロシアに軍隊や武器を提供し、その見返りとして燃料や食料を得るなど、両国の関係は急速に接近している。こうしたなか、中国共産党が北朝鮮への影響力を再び強める動きを見せている。交流の拡大を通じ、地域情勢の主導権確保を図る狙いがあるとみられる。

中国国家鉄路集団によると、北京と丹東から平壌を結ぶ国際旅客列車が3月12日から双方向で運行を再開した。新型コロナの影響で6年前に停止していた丹東―平壌区間の運行を復活させたもので、中共側は「二国間交流の促進」を目的としていると説明している。

また、ロイターの報道によれば、中朝の国境周辺では道路や港湾施設の建設工事が複数確認されており、当局が越境交通の増加に備えている可能性があるという。

貿易面でも関係回復の兆しが見えている。中共の対北輸出額は昨年6年ぶりの高水準を記録した。一方、両国が国交樹立75周年を迎えた2024年には貿易額が一時的に落ち込んでおり、専門家は北朝鮮とロシアの接近が影響した可能性を指摘している。

こうした動きの背景には、国際情勢の急激な変化がある。米国によるイラン空爆で緊張が高まるなか、トランプ米大統領が近く訪中する予定で、北京は朝鮮半島問題での影響力を改めて示す必要に迫られているとみられる。

台湾国防部系シンクタンク「国防安全研究院」の副研究員、謝沛学氏は、現在の構図について「中国、米国、北朝鮮、ロシアの四者関係に見えるが、実際には『中露朝』と『米中朝』という二つの三角関係として理解できる」と分析している。

国防安全研究院の副研究員 謝沛学:「中露朝という反西側の三角同盟は、実際には見かけだけのもので、互いに思惑を抱えた状態である。ロシアはウクライナ戦争の継続に伴い、北朝鮮から弾薬や兵士の供給を受けているとされる。これにより北朝鮮は対中関係で一定の余裕を持ち、中国をやや冷遇する余地を得た。中国共産党としては、東北部の国境地域において、ロシアによって武装された制御不能な北朝鮮政権が出現することを望んでいない。そのため今回の往来拡大は、ある意味で中共が北朝鮮を再び引き戻すための補償的措置でもある」

一方、米中朝の関係でも駆け引きが続く。トランプ政権の第1期には、トランプが北京を介さず直接金正恩と対話した経緯があり、中共は朝鮮半島問題での主導権を失うことを警戒してきた。今回の対北接近は、米中首脳会談を前に影響力を示す狙いがあるとの見方も出ている。

謝沛学:「習近平はトランプに対し、自分が北朝鮮問題を解決する能力を持っていることを示さなければならない。その戦略意図はいくつかある。第一に交渉カードを増やすことである。もし中共が北朝鮮への絶対的影響力を示せれば、米中貿易戦争や技術規制などの問題で、米国に一定の譲歩を求めるための切り札になる。同時に、北朝鮮が北京を迂回して米国と取引するような『越位関係』を防ぐ狙いもある」

しかし北朝鮮も単なる駒になるという状況は見られず、独自の外交姿勢を保とうとしている。これまでロシアへの軍事支援によって地政学的な交渉力を高めてきたほか、最近は米国に対して交流再開の意思も示している。

金正恩は2月、米国が敵視政策を撤回すれば「米国と友好的に付き合わない理由はない」と発言した。ホワイトハウスも、トランプが前提条件なしでの対話に前向きな姿勢を維持していると明らかにしている。

国防安全研究院の研究員 沈明室:「北朝鮮の金正恩は習近平のことをあまり好んでいない。中国が圧力をかけても北朝鮮が必ずしも従うとは限らない。ただし北朝鮮は中国からのエネルギー支援を依然必要としている。このため複数の国の関係は非常に複雑である。米国と北朝鮮は本来衝突する関係のように見えるが、韓国の姿勢が変化するにつれて、両国がさらに接触する可能性もある。最近のメディア取材を見ると、北朝鮮は反米というより、むしろ米国と直接対話し、自国の国際的地位を高めようとしているように見える」

日米韓の安全保障協力が強まるなか、中共は北朝鮮を東北アジアにおける陸上の緩衝地帯として維持する必要がある。一方で北朝鮮も大国間の競争を利用し、自国の交渉力を高めようとしている。朝鮮半島を巡る外交は、今後も複雑な駆け引きが続きそうである。

新唐人
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