中国の学術不正は「世界記録級」 北京大学・饒毅教授が警鐘 動画拡散で波紋

2026/06/05 更新: 2026/06/05

中国の科学普及系ブロガー「耿同学」が4月に中国の学術界に波紋を広げたのに続き、最近では北京大学の饒毅教授が講演で、中国は科学分野における学術不正で過去に例のない水準にあると述べた。この動画は中国のネット上で再び拡散している。

『寧波日報』や『明報』によると、拡散している動画は、5月11日に浙江省寧波市の東方理工大学で行われた講演「中国の科学はどこへ向かうのか」での発言である。

講演の中で饒教授は、中国の科学論文数が世界で上位2位に入る水準にあるとした上で、その発展の速度も過去に例のない規模だと述べた。一方で、学術不正についても同様に「世界記録級」であると指摘した。

さらに、学術不正が多い理由について、研究規模の拡大による件数の増加だけでなく、不正の割合自体も前例のない水準に達しているためだと説明した。過去を振り返ると、英国やフランスではおよそ100年前、学術不正はごく少数で、いずれも大きなスキャンダルとして扱われていたとしている。また、アメリカでも科学の発展期に大規模な不正は確認されていないとしている。

その上で、中国では学術不正に対する処分が十分に行われていないと指摘した。教員が学生を指導する立場で不正に関与した場合、学生が社会に出た後、各分野に長期的な影響を及ぼす可能性があるとし、その影響は科学全体への損失を上回るおそれがあると述べた。さらに、大学や関係機関に対し、監督体制の強化や処分の厳格化を求めた。

饒毅氏は、中国で影響力のある科学者の一人である。北京大学の特別教授や生命科学学院の元院長を務めたほか、首都医科大学の学長(2019年から2025年)などを歴任している。

同済大学など主要大学に広がる疑惑

今年4月には、同済大学の研究チームが1年以内に『ネイチャー』に2本の論文を発表したことについて、データ改ざんの疑いが指摘された。この問題は、ブロガー「耿同学」(北京航空航天大学を退学した博士課程の学生、耿洪偉氏)が公表したもので、その後、饒教授も自身の公式アカウントで疑問を呈し、大学側の調査につながったとされている。

「耿同学講故事」はこれまで主に生物分野の科学普及動画を発信してきたが、近年は学術不正の告発にも関与している。特に、複数の肩書きを持つ研究者について、研究資源を占有しながら不正な手段で成果を上げていると指摘している。

4月以降、同済大学のほか、中山大学や南開大学など複数の主要大学の研究チームにも疑惑が広がっている。

5月19日時点で、「耿同学」は短編動画プラットフォームで300万人以上のフォロワーを持ち、関連動画の累計の「いいね」は100万件を超えている。一連の動きは、一部で「学術界の大地震」とも呼ばれている。

こうした中、大学側の対応も進んでいる。同済大学は5月6日、対象となった論文に学術不正があったと認定し、関係者の処分を発表した。これには、学院長職の解任や職位の引き下げ、雇用関係の解消などが含まれている。

方曉
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