欧州の水力発電量 過去最低に迫る水準 高温と少雨が影響

2026/08/05 更新: 2026/08/05

高温と少雨が続く影響で、ヨーロッパのアルプス地域や中・東欧の水力発電量が、過去最低に迫る水準となっている。

エネルギー情報会社モンテルMontelによると、7月のオーストリアとスイスでは、貯水池や河川への水の流入量が長期平均を約50%下回った。

オーストリアの7月の水力発電量は、過去15年の平均水準の51%にとどまった。スイスはさらに深刻で48%だった。ドイツは63%、フランスは68%と減少幅は比較的小さいものの、いずれも平年を大きく下回った。

オーストリア最大のエネルギー会社Verbundの最高経営責任者(CEO)、ミヒャエル・シュトルーグル氏は、「当社の水力発電所で発電に利用できる水量は、通常より3分の1少ない」と述べた。

また、2026年は同社の水文記録が残る中で、最も乾燥した年になっていると指摘した。

セルビア最大のジェルダップ1水力発電所では、ドナウ川の流量が過去最低を記録したため、現在は最大出力の20%程度で稼働している。

モンテルの上級水文アナリストは、アルプス周辺諸国の状況が短期間で大きく改善する可能性は低いとみている。

気象予報では、今後数週間も高温で乾燥した天候が続く見通しで、改善の兆しが見られるのは9月以降になる可能性がある。

水力発電は、欧州連合EUの主要な再生可能エネルギー電源の一つである。国際エネルギーシンクタンクのEmberによると、水力発電の減少を受け、EUの2025年の天然ガス火力発電量は、2024年に比べ8%増加した。

干ばつは、ほかの発電施設にも影響を及ぼしている。

ドナウ川では複数の地点で水位が過去最低を記録し、沿岸にある複数の原子力発電所の運転への影響が懸念されている。

ハンガリーのパクシュ原子力発電所は、冷却水の不足により、稼働開始から約半世紀で初めて運転を停止する。同発電所は通常、国内の電力の半分近くを供給している。

ルーマニアの国営原子力発電会社Nuclearelectricaは7月28日、国内唯一のチェルナボーダ原子力発電所の原子炉1基を停止した。

これを受け、同国はエネルギー警戒態勢に入った。軍は冷却水を確保するため、爆薬を使って川底の岩を破砕した。

現在もヨーロッパの広い地域で干ばつ警報が出されている。対象地域には、中欧の複数の国、イタリア北部、イギリス南部、イベリア半島の一部が含まれる。

送電網の容量不足への対応として、エンバーは最新の報告書で、同じ送電網の接続地点に風力、太陽光、蓄電設備を組み合わせる「ハイブリッド化」を提案した。

報告書によると、EUの主要な水力発電国であるオーストリア、ブルガリア、フランス、イタリア、ポルトガル、ルーマニア、スペインでは、ハイブリッド化を進めることで、2030年までに新たに導入される見込みの再生可能エネルギーの約18%を、送電網を増強せずに統合できるとしている。

李皓月
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