EU グリーンランドに363億円投資 北極圏で中露を警戒

2026/09/08 更新: 2026/09/08

グリーンランドの戦略的重要性が高まるなか、EUは7日、グリーンランドに2億ユーロ(約362億円)を投じる計画を発表した。グリーンランドやデンマークとの政治的な関係も強化する。

北極圏では中国共産党とロシアの活動への警戒が強まっている。トランプ米大統領も中ロの動きを挙げ、デンマークだけではグリーンランドの安全を十分に確保できないとの認識を示してきた。

こうしたなか、欧州委員会のフォンデアライエン委員長は6日、グリーンランドの首都ヌークを訪問。翌7日、2億ユーロ規模の投資計画を発表した。

フォンデアライエン氏は「われわれは協力を全面的に深めている。通信・インフラ、クリーンエネルギー、重要原材料、そしてもちろん、グリーンランドの人々により多くの機会を提供する」と述べた。

さらに、「これはグリーンランドが、自らの価値観、自由、利益に基づき、EUとの関係を強化するという明確な選択を反映している」と語った。

2億ユーロの投資は2026年と27年に実施する。

通信・エネルギー・重要原材料に重点

フォンデアライエン氏は今回の訪問で、デンマークのフレデリクセン首相、グリーンランド自治政府のニールセン首相と会談し、EUとして両者との連携を強化する姿勢を示した。

投資計画では、特に衛星通信やインフラなどの接続性、水力発電や再生可能エネルギーなどのクリーンエネルギー、持続可能な鉱山開発を含む重要原材料の3分野に重点を置く。

このほか、教育、漁業、住宅環境の改善や、中小・零細企業への支援、持続可能な観光産業の育成にも資金を充てる。

ニールセン氏は今回の訪問について、グリーンランドとEUの「緊密な友情と良好なパートナーシップ」をさらに深める機会だと述べた。

グリーンランドは1985年、EUの前身である欧州共同体(EC)から離脱した。ただ、多くの住民はデンマーク国籍を持ち、EU市民でもある。

グリーンランドには、レアアース、リチウム、ニッケル、コバルト、銅など豊富な重要鉱物資源が存在する。

EUは重要原材料の供給先を多角化し、特定国への依存を減らすことを課題としており、グリーンランドはその供給網を強化するうえで重要な地域とみられている。

北極圏で中露の活動活発化 資源や航路巡り競争

北極圏では海氷の減少に伴い、「北西航路」や「北東航路」などの利用可能性が高まり、商業面だけでなく安全保障上の重要性も増している。

トランプ氏はこれまで、「国家安全保障」を理由にアメリカにはグリーンランドが「必要だ」と繰り返し主張してきた。

また、グリーンランド周辺で中露の活動が活発化しているとして、デンマークだけでは十分に対応できないとの見方を示している。一方、こうした発言にはデンマーク側が反発している。

アメリカとEUはいずれも、北極圏における中ロの動きを警戒している。

ロシアは近年、ソ連時代に使用していた北極圏の基地を再稼働させるなど、地域での軍事力を強化している。

一方、中国共産党は自らを「近北極国家」と位置付け、「氷上シルクロード」構想を掲げ、北極圏での鉱山開発やインフラ整備への参画を進めている。

欧州連合安全保障研究所(EUISS)は、EUが今回大規模な投資に踏み切った背景には、経済・技術協力を通じて西側諸国との連携を強化し、重要鉱物のサプライチェーンを確保するとともに、戦略的重要性の高いグリーンランドで中露の影響力がさらに拡大するのを抑える狙いがあると分析している。

李言
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