トランプ・習近平会談 台湾・AIなど5つの焦点 対立の溝は埋まらず

2026/09/25 更新: 2026/09/25

トランプ米大統領は9月24日、ホワイトハウスで中国共産党党首の習近平と会談した。米中両国は今週、貿易をめぐる「休戦」を2か月延長することで合意した。会談では台湾問題、人工知能(AI)、レアアース、イラン、軍事面での危機管理なども話し合われた。しかし、主な対立は解消されず、今後の協議に持ち越された。

習近平がワシントンを訪れたのは十数年ぶりで、トランプ氏との会談は今年2回目となった。ホワイトハウスは歓迎式典、国賓晩餐会を開き、習近平を国賓として迎えた。

今回の会談で公表された成果は限られる。米中間の根深い対立を解決するよりも、首脳間の対話を続け、貿易に関する現在の取り決めを延長することに重点が置かれた。双方は関係を安定させたいという姿勢を示したが、台湾問題や先端技術のこと、安全保障をめぐる立場には、なお大きな隔たりがある。

米中貿易の「休戦」を2か月延長  関税・レアアースは持ち越し

ベッセント米財務長官によると、両国は11月に期限を迎える貿易合意を2か月延長することで一致した。ベッセント氏は、これによって経済分野で協議を進めるための「さらなる時間」が得られるとしている。

一方、関税、中国によるアメリカ産品の購入、レアアースの供給、先端技術に関する規制などは、次の交渉に持ち越される。ベッセント氏は、中国が先の合意に盛り込まれた大豆2500万トンの購入を履行する一方、その他の農産物170億ドル分(約2兆6831億円)の購入は遅れていると説明した。アメリカ政府当局者によると、レアアースの供給も合意した水準に達していない。

米中の通商政策に影響を受ける企業に対して、関税率は当面、現在の水準に据え置かれる。ただ、今後の事業環境は次の交渉次第である。

台湾問題で立場に隔たり  武器売却も焦点

台湾は、今回の会談でも重要な議題となった。中国共産党系メディアによると、習近平はアメリカに対し、「台湾独立」への反対を堅持し、台湾問題を「慎重に扱う」よう求めた。

ロイター通信は、「台湾独立に反対する」という立場を求めた点は、アメリカが長年使ってきた「台湾独立を支持しない」という表現より踏み込んでいると指摘した。今のところ、トランプ政権が従来の表現を変える兆しはない。記事の執筆時点で、ホワイトハウスは非公開会談の正式な概要を発表していない。

台湾への武器売却も焦点となっている。トランプ氏は今年5月の訪中後、約140億ドル(約2兆2096億円)の台湾向け武器売却案の承認を一時見送ったと述べた。また、対台武器売却は中国との交渉で「非常に有効な交渉材料」だと語っていた。

AIの開発と管理をめぐり米中の見解に違い

AIも会談の重要な議題となった。トランプ氏は以前、中国との間でAI規制に関する新たな安全策を設ける考えはないと表明した。SNSでは、AIについて「今のまま完全に維持したい」と述べ、中国側も同じ考えだとしていた。

一方、習近平は、米中両国にはAIを適切に発展させ、管理する能力と責任があると主張した。「AIの発展が常に人間の管理下にあり、人々の利益につながるようにすべきだ」と述べた。

考え方に違いはあるものの、米中の当局者は今週、AIのリスクについて協議する正式な枠組みを設けることで合意した。AIに関する事故が起きた際の通報制度も検討する。

ベッセント氏によると、両国の高官は約2か月後、深圳で再び会談する見通しである。

軍事対話と危機管理を協議  新たな重要合意は確認されず

習近平は公開の場で、新興国と既存の大国は衝突しやすいとする「トゥキディデスの罠」に再び言及した。そのうえで、両国の軍が日常的な対話を続け、危機時の連絡体制や偶発的な衝突を防ぐ仕組みを整えるべきだと訴えた。「『トゥキディデスの罠』は乗り越えられる」とも述べた。

トランプ氏は、共通の利益を足がかりに協力できると強調した。習近平を迎えた際には、両者の間には真の友情があり、相互尊重と両国民の重要な利益に支えられていると語った。

一方、両国は技術、部品や原材料の調達網、軍事・安全保障、国際的な影響力をめぐって競い合っている。公表された情報を見る限り、安全保障分野で新たな重要合意は確認されていない。ただ、双方とも対話を続けることが重要だと強調した。

イラン問題などを協議  具体的な進展は限定的

両首脳はイランでの戦争、ロシアとウクライナの戦争、朝鮮半島情勢についても話し合った。中国共産党系メディアによると、習近平はアメリカとイランが「イスラマバード了解覚書」に立ち返ることを支持した。また、対話と交渉を再開し、最終的には核問題を含む包括的な合意に至ることを望むと述べた。中国側が公表した会談記録にも、中東情勢、ウクライナ危機、朝鮮半島について意見を交わしたと記されている。

アメリカはこれまで、イランに停戦条件を受け入れさせるため、中国当局に対してテヘランへの影響力を使うよう求めてきた。しかし、中国当局が新たな具体策を約束したという情報は公表されていない。

中国当局はイランにとって最大の貿易相手国であり、湾岸地域からの石油供給にもアメリカ以上に依存している。

アメリカ議会  台湾支援の推進を要求

首脳会談の前後には、アメリカ議会の民主・共和両党から、台湾への安全保障支援を進めるよう求める声が上がった。民主党の上院議員少なくとも19人は、議会が承認済みとする総額150億ドル超(約2兆3675億円超)の台湾向け支援を進めるよう、トランプ氏に求めた。これには13億ドル(約2052億円)の資金援助と、140億ドル(約2兆2096億円)の武器売却案が含まれる。共和党の上院議員5人も、これに先立ち同様の要求をしていた。

民主党議員の一部からは、AI、貿易、重要鉱物、台湾向け武器などについて、実質的な進展は乏しかったとの見方も出ている。

一方、共和党のスティーブ・デインズ上院議員(Steve Daines)は、米中は世界有数の経済大国であり、軍事大国でもあると指摘した。そのうえで、今回の会談には両国関係の安定を示す意義があったと評価した。

デインズ氏は、トランプ氏と習近平が公の場で建設的なやり取りを見せることは重要だと述べた。貿易、AI、イランなど意見が分かれる問題については、非公開の場でさらに踏み込んだ協議ができるとの見方を示した。

共和党のランド・ポール上院議員(Rand Paul)も会談を前向きに受け止め、SNSに「この会談が実現してうれしい。外交が鍵だ。もっと話し合い、戦争を減らそう」と投稿した。

陳霆
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