中国・広西で豪雨被害 村人「死者は千人規模」 当局発表は39人のまま

2026/07/15 更新: 2026/07/15

中国広西チワン族自治区では7月4日以降、猛烈な豪雨が続いている。7月6日には広西横州市で複数のダム・貯水施設が決壊し、洪水により多数の死傷者が出た。中国共産党当局は7月9日、広西全域で「39人が死亡、9人が行方不明」と発表したが、その後、数字は更新していない。複数の地元村民は大紀元に対し、今回の洪水による実際の死者数は少なくとも千人規模に上ると証言した。村によっては壊滅的な被害を受けたところもあるという。

洪水から1週間 当局発表の死者数は2桁のまま

広西南寧市横州の六藍ダムでは7月6日、堤防が崩れ、大きく決壊した。洪水は横州市校椅鎮に属する六藍村から低地に沿って一気に流れ下り、雲表鎮など複数の村や町を通過した。さらに数十キロ離れた貴港市にも押し寄せ、広東省との境界付近にも影響が及んだ。

六藍ダムだけでなく、横州市とその周辺では複数のダムや河川で相次いで越水や決壊が発生し、各地で洪水被害が起きた。逃げ遅れた多くの人が、瞬く間に濁流にのみ込まれたという。

7月9日時点で、広西当局は洪水による死者は広西全域で39人、行方不明者は9人だと発表した。このうち六藍ダムの決壊による死者は26人、行方不明者は7人という。しかし、その後は死者数などの更新がなく、外部から疑問の声が上がっている。

村人「死者は千人規模 村全体が埋もれた」

雲表鎮は、六藍ダム決壊による洪水が流れ込んだ主要ルートに位置し、深刻な被害を受けた地域の一つである。広西南寧市政府サイトが2024年6月に公表した報告書によると、雲表鎮の人口は8.6万人だった。

複数の村民やボランティアが7月13日、大紀元の取材に応じ、被災状況を語った。

雲表鎮龍子村の楊礼さん(仮名)は記者に対し、現在は水が引いたものの、周囲には悪臭が漂っていると話した。若い世代や働き盛りの住民は家に戻り、自宅や公共区域の清掃を進めているという。

楊さんは「亡くなった人は、うちの村では2人だ。でも隣の亜陂村は多い。第5隊と呼ばれる地区だけで十数人が流された。物的損害より人命が最も重要だ。死者数は千人規模に上るはずだ。少なく見積もってもその程度にはなると思う」と語った。

楊さんによると、自宅の被害は大きかったが、家族は全員無事だったという。

「当時、私は家にいた。最初の数日はほとんど食べ物がなく、物資も届かなかった。3日目か4日目になって、ようやくドローンで物資が運ばれ始めた。今も家の片付けは終わっていない。水も電気もなく、外には大量のごみがあり、運び出すこともできない」

楊さんは、今は住む場所があるだけでもましだと話す。悪臭や感染症の心配さえなければよいという。自宅に住みたくない人はほかのところへ行き、親戚の家に身を寄せる人もいれば、親戚がいない人は避難所に行くか、自費で部屋を借りている。

「この洪水の責任を取る人はいない。政府の支援はごくわずかだ。ほとんどは各地からの支援に頼っている」

雲表鎮関塘村の莫剛さん(仮名)は大紀元に対し、雲表鎮では村への立ち入りが制限され、自由に入ることができなくなっていると話した。現在、大量のボランティアによる泥の撤去が必要だという。

莫さんの家は下流にあり、町の中心部ほど被害は深刻ではなかったが、それでも水は1階の高さまで達した。最も被害が大きいのは亜陂村と六藍村だという。

死者が千人規模に達しているとの村民の証言について、莫さんは「本当だと思う」と話した。まだ多くの人が見つかっておらず、ダムに近い地域が最も悲惨だったという。逃げる時間がなく、多くの人が犠牲になった。

「泥の下に埋まっている人もいる。だから、がれきを片付けるショベルカーはとても慎重に作業しなければならない。泥の中に人がいれば、遺体を傷つけてしまうからだ」

「雲表橋の辺りには多くの物が引っかかっていて、昨日もすでに数人の遺体が見つかった」

雲表鎮と接する鎮龍郷の村民は記者に対し、自分たちの郷だけでも一つの村が壊滅状態になったと話した。

「ほかの場所のことは分からない。私たち鎮龍郷には8つの村があるが、そのうち一つの村が壊滅した。多くの人が泥やがれきの下に埋まったままだ。犠牲者は少なくとも500人だ」

被災地で立ち入り制限 実態の拡散を警戒か ネットも厳しく統制

インターネット上には、「横州災害救援物資手配表」とされる写真が出回っている。表の記入日時は7月12日で、物資の受け入れ場所は雲表鎮交通警察中隊と記されている。手配された物資には薬、水靴、テントなどの救援物資が含まれ、その中で最も多かったのは遺体収容袋だった。

ネット上で拡散した当局のものとされる救援物資手配表によると、横州市雲表鎮の一つの受け入れ拠点だけで、2026年7月12日の1日で「遺体収容袋250個」を受け入れたとされる。(ネット画像)

この手配表では、担当者が当初「遺体収容袋200個」と記入した後、数量が足りないと見込んだのか、その数字を線で消し、最後に「遺体収容袋250個」と書き加えたように見える。

雲表鎮関塘村の莫剛さんは、雲表で遺体の収容に当たる人たちは遺体収容袋を持って行き、遺体を一つ見つけるとすぐ袋に入れ、葬儀場へ運んでいると話した。その後、各村の住民グループチャットで情報を共有し、身元確認を呼びかけているという。

死者数が当局発表と大きく異なることについて、莫さんは、地元の人間は事情を分かっているが、勝手に広めることはできないと話した。広めれば、当局に発言者を特定されるためだという。現在、雲表で立ち入りが制限されているのは、より多くの人に遺体を見られるのを防ぐためだとし、外地の人が入るには届け出が必要だと語った。

横州市中心部から雲表へ支援に入ったボランティアの暁龍さん(仮名)は、鎮龍郷のダム下流の村では、ショベルカーが掘るたびに遺体が見つかると話した。ただ、動画をネットに投稿することはできず、投稿すればアカウントが停止されるという。

「村の中までは入らなかった。私が行った日は大通りの水は引いていたが、奥の村はまだ水が引いておらず、泥も深すぎて人が出てこられなかった。今、中から出てきた人たちは、村が消えてしまったと言っている。動画はあるが、投稿できない。投稿した2人はすでにアカウントを停止された」

雲表鎮のある村人は、「雲表鎮全体が何もかも流されてしまった。これ以上はここでは話せない。私の家も同じように、すっかり流された。死者数のことは口にしないでください。どう言えばいいのか分からない。皆の心の中にとどめておくしかない。ああ、無力だ。私に言えるのは、当局発表を見るしかないということだけだ」と話した。

現時点で、大紀元は広西洪水の死者数に関する民間の数字を独自に確認できていない。

中国問題専門家の李林一氏は、今回の災害は深刻であり、ネット上に出回った動画を見ても、村が一つ、また一つと濁流にのみ込まれていることが分かると指摘した。「死者が数十人だけということは絶対にあり得ない」とし、複数の村民が死者は少なくとも千人規模だと話していることから、今後さらに多くの実態が明らかになるだろうとの見方を示した。

唐兵
顧暁華
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