米国とアジアの同盟国 中国に対抗し防衛関係を深化

2026/08/04 更新: 2026/08/04

【論評】

アジア全域で、各国は中国共産党(中共)政権に対抗するため、防衛関係を再編している。この変化には、アジア諸国間における新たな防衛協定や既存協定の拡充に加え、米国との防衛関係の強化も含まれる。

ここ数週間、中国は海上哨戒の範囲を台湾東岸にまで拡大し、台湾を包囲する能力を示したほか、日本に対する軍事、貿易、外交面での圧力を強め、潜水艦発射弾道ミサイルの発射実験を行い、海上配備型核戦力の増強を誇示した。

これに対し、地域の民主主義諸国は相互の連携を深め、ワシントンとの二国間防衛関係も強化している。

日本の軍備増強は、岸田文雄前首相の下で2022年12月に策定された国家安全保障戦略から始まった。同戦略は、2027年度までに防衛費を国内総生産(GDP)の2%に引き上げる目標を設定した。高市早苗首相の下で、日本はこの日程を前倒しし、2026年3月までに2%の目標を達成すると表明した。

2025年12月に承認された政府の2026年度予算では、防衛費は約580億ドルとなり、12年連続で過去最高を更新した。小泉進次郎防衛相は、この増額について「日本が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中で必要な最低限の額だ」と述べた。

日本とフィリピンも足並みをそろえて動いている。両国は訪問部隊協定に署名し、共同訓練、艦艇の寄港、軍事情報の共有を拡大してきた。また、日本からの技術移転を通じて水上艦隊の近代化を進めるフィリピンの取り組みにより、フィリピン政府は南シナ海での中国の活動に対処する能力を高めている。

米国もこれとは別に、地域全体で二国間関係を強化している。フィリピンに対しては、トランプ政権当局者が「揺るぎない」関与を改めて確認し、フィリピン軍の近代化と、南シナ海における中国の威圧を抑止するための二国間タスクフォースを支援している。

米議会は2026年度、強化された防衛協力協定(EDCA)の拠点インフラ向けに1億4400万ドルを追加計上した。また、米国、フィリピン、日本、オーストラリアの国防相は、協力強化を目的として4回の多国間会合を開催した。

インドネシアも米政府との防衛関係を深めており、4月13日、両国は「主要防衛協力パートナーシップ」を創設した。この協定により、長年にわたる非公式な協力は、共同演習、技術協力、インドネシア軍装備の近代化を対象とする制度化された枠組みへと格上げされた。この協定は、世界の海上石油貿易の約29%が通過する要衝、マラッカ海峡における米軍の活動範囲を拡大する。

しかしこのパートナーシップは正式な同盟には至っていない。インドネシア政府は中共政府とも並行して防衛関係を維持している。2025年4月、中共とインドネシアは、外務・国防閣僚対話の初会合を開いた。

両国はまた、包括的戦略対話の仕組みを設置する覚書に署名した。直近では2026年3月、インドネシア政府は中共政府との安全保障分野での協力を強化する用意があると表明した。

防衛装備品に関しては、米国務省によると、2025年半ば時点で、米政府とインドネシア政府との間で進行中の売却案件は18億8千万ドルに上った。これには、F-16戦闘機、アパッチ攻撃ヘリコプター、オスプレイ輸送機、ジャベリン対戦車ミサイル、AMRAAM空対空ミサイルの売却案が含まれる。

これは、米政府が2022年に承認した、F-15戦闘機、エンジン、弾薬をインドネシア政府に売却する140億ドルの取引に続くものである。同取引は2023年、F15EX戦闘機24機に関する覚書によって正式化されたが、依然として米国の最終承認と引き渡しを必要としている。2025年4月時点で、インドネシアは米国製戦闘機と弾薬の追加購入を引き続き検討していた。その一因は、トランプ政権がインドネシアからの輸出品に課した関税への交渉材料とするためであった。

インドネシアと中共の間では、ナトゥナ諸島を巡る海洋紛争も繰り返し発生している。

2016年3月、インドネシア海軍の艦船は、ナトゥナ諸島の排他的経済水域(EEZ)で中国漁船「クワイ・フェイ」を発見し、発砲して拿捕した。2020年9月、インドネシアの巡視船は、同じ海域に3日近くとどまっていた中国海警局の船と対峙し、中国船はその後撤退した。2024年10月、中国海警局の船は、ナトゥナDアルファ・ガス田で国営石油会社プルタミナと契約していたインドネシアの調査船を12日間追尾した。インドネシア海上保安庁はその後、数日のうちに同じ中国船を2度にわたり自国海域から退去させた。

2016年8月16日、インドネシアの排他的経済水域(EEZ)沿いで警戒巡視を行い、ナトゥナで投錨する準備をする海洋水産省の警備船乗組員(Ulet Ifansasti/Getty Images)

2026年3月時点で専門家は、この海域では海上民兵や海警局船舶の支援を受けた中国漁船による小規模な侵入が続いているほか、中国がインドネシアに対し、ナトゥナ海域での掘削と軍事演習を中止するよう要求していると報告した。

2026年5月のトランプ・習近平首脳会談後の数日間、複数の主要報道機関は、トランプ政権が台湾に対する米国の支援を弱めていると主張した。しかし、数字が示しているのは、米国の関与が弱まっているのではなく、強まっているということである。

2025年11月、米政府は台湾への中距離防空システムやF-16戦闘機の部品を含む13億ドルの売却案件を承認した。翌12月、米政権は高機動ロケット砲システム「HIMARS」地対地ミサイル「ATACMS」榴弾砲、精密誘導弾薬を含む111億ドルの売却案件を議会に通知した。これは米国による台湾への単一の武器売却として史上最大であった。

2025年の売却案件は合計約124億ドルに上り、バイデン政権の4年間に承認された武器売却総額84億ドルを上回る。

メディアの否定的な論調は、発表の延期に端を発している。議会がすでに承認していた後続の140億ドル規模の売却案件は、北京でのトランプ・習近平首脳会談を前に、2026年初めに発表が延期された。この延期には、台湾内部の政治情勢も重なった。

野党が多数を占める立法院は、頼清徳総統が提案した400億ドル規模の特別国防予算を数か月にわたって阻止した。この予算は、すでに合意済みの武器購入に充てることを目的としていた。台湾の立法院が膠着状態を解消したのは5月8日で、頼総統が求めた額を大幅に下回る7800億台湾ドル、約249億ドルに縮小した特別国防予算を可決した。

台湾政府は一貫して、米国の政策に変化はないと述べている。台湾当局者によると、次回の武器売却を承認する意思を示す保証書を米政府から受け取った。台湾国防部も3月、米国の内部審査手続きは予定通り進んでいると述べた。

メディアは、トランプ氏が米国のアジアの同盟国に対する支援を撤回していると主張しているが、事実が示す状況は異なる。アジア全域で民主主義諸国が自国の防衛力増強を加速させる一方、米政府も同時に地域全体で二国間の関与を深めている。米国とその同盟国は、中国共産党による侵略を抑止するため、共同で地域の防衛力を強化している。

経済学者、中国経済アナリスト。上海体育学院を卒業後、上海交通大学でMBAを取得。20年以上アジアに滞在し、各種国際メディアに寄稿している。主な著作に『「一帯一路」を超える:中国のグローバル経済拡張』(Beyond the Belt and Road: China's Global Economic Expansion)や『A Short Course on the Chinese Economy』など。
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