中国 洪水から約1か月 被害の実態はいまも明らかにならず

「何を隠す?」 決壊ダムの現場を封鎖 空撮映像も削除=中国・広西

2026/08/04 更新: 2026/08/04

何を隠そうとしているのか。

中国・広西チワン族自治区で7月に発生した大規模なダム決壊から約1か月。被災地では決壊現場が鉄板の壁で囲われ、被害を伝えるドローン映像も次々と削除している。

当局による情報統制が強まる中、「見られたら困るものは何なのか」との疑念が広がっている。

8月1日にSNSへ投稿された映像では、最も大きな被害が出た六藍(りくらん)ダムの下流にある六藍村で、長い青い鉄板の壁を設置している様子が確認できる。現場には公安とみられる警察官や私服の関係者が立ち、周辺を警戒していた。

ネット上では、「現場への立ち入りや撮影を防ぐためではないか」との見方が相次いでいる。

一方、同じ日に決壊した雲表(うんぴょう)ダムをドローンで撮影した映像もネットに投稿されたが、その後まもなく削除した。

映像には、決壊した堤防から大量の濁流が流れ出し、広い範囲の集落や農地をのみ込む様子が映っていた。

今回の豪雨では、六藍ダムだけでなく雲表ダムなど複数のダムが相次いで決壊した。現地からは「村ごと流された」「多くの犠牲者が出た」との声が相次いでいるが、公式発表は限られ、被害の全容はいまも明らかになっていない。

中国当局は連日、救助活動の様子を大々的に発信している。しかし、本紙や姉妹メディアによる現地取材や、被災地からSNSに寄せられた情報からは、政府の支援は一部地域に限られ、多くの住民が自力で復旧や避難生活を続けている実態が浮かび上がっている。

さらに、洪水の映像や被災状況を投稿したネットユーザーへの取り締まりも強化している。中国当局は、広西洪水に関する情報を発信したネットユーザー数十人を処分し、このうち複数人を刑事拘留したと発表している。

本紙の取材に応じた救援ボランティアは、「村が丸ごと流された場所がある」「村全体が土砂に埋まり、至る所に遺体があった。しかし写真をネットに投稿すれば、すぐにアカウントを削除されるため発信できない」と現地の状況を明かした。

現場を封鎖し、映像や被災地からの発信を次々と削除し、民間の救援隊も立ち入りを阻止している。

内部関係者は死者が約1万7千人に上ると説明している一方、中国当局の公式発表は「26人死亡、7人行方不明」としている。

これほど大きな数字の開きがありながら、現場を封鎖し、映像を削除し、発信も封じている。

こうした状況を目の当たりにすれば、多くの人が「隠しているのは被害の深刻さだけではない。政府の対応の遅れや不作為によって被害が拡大した『人災』ではないのか」と受け止めても不思議ではない。

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!
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