習近平「虎退治」加速 江派核心に近づく

中国共産党5中全会直後、習近平主席が進める「虎も蠅もたたく」反腐敗運動が加速した。11月前半、艾宝俊・上海副市長を含む8頭の「虎」(省・部または軍クラス以上の汚職高官)が捉えられた。このほど、当局に近いグループは、習近平当局の反腐敗運動は大きな政治リスクを冒し、各種の利益グループと戦っていると発信した。アナリストによると、江沢民元総書記の古巣である上海の副市長への取り調べは、江沢民を清算する行動の序曲だという。

 「虎」8頭を捉える

11月13日、中国証券監督管理委員会(証監会)のナンバー2、姚剛・副主席が「厳重な規律違反の容疑がある」として取り調べを受けたと公表された。同日、呉瑞忠・元第二砲兵工程大学副政治委員と瞿木田・元武装警察交通指揮部副司令員も調査された。

10月29日、中国共産党第18期中央委員会第5回総会(5中全会)が閉幕した。直後の11月2日~11日の間にも、5頭の「虎」が捉えられた、即ち朱福寿・東風自動車会社総経理、司献民・南方航空株式有限会社理事長、白雪山・寧夏自治区副主席、艾宝俊・上海副市長、呂錫文・北京市副書記である。寧夏、上海と北京においていずれも「十八大」後初めての「虎」である。これにより、今月前半の12日間に8頭の「虎」が捕らえられた。

中国共産党「十八大」以来、これまですでに130数人の省・部または軍クラス以上の汚職高官が取り調べを受けた、中の多くは江派の背景を持つ。

 反腐敗に退路なし

11月16日、習近平主席身辺の情報をしばしば発信することで知られる「微信」(ウェイシン)公式アカウント「学習小組」は署名入りの文章を発表し、習近平氏が執政してすでに3年経ったが、鉄腕の手段で虎も蝿も叩いてきた。彼は民衆が最も腐敗を嫌うことをよく知っている。民衆または腐敗分子のどちらかの感情を害することになるが、習氏は迷いもなく後者を選んだ。

文章によると、中国の情況はとても複雑で、敏感である。この3年間、習当局は政治的リスクを冒し、数多くの人の縄張りを打ち破り、各種の利益グループ、既得利益者と戦ってきた。

11月18日、習近平主席の側近で、日本の官房長官に当たる党中央弁公庁主任の栗戦書氏は中国共産党機関紙の『人民日報』で文章を発表し、「反腐敗の闘争は止めてはならず、緩めてはならない」と強調した。

また、習近平氏、王岐山氏も幾度も、当局の反腐敗「虎退治」は生きるか死ぬかの「闘争」であり、「反腐敗に退路はない」、「弓で矢を放ったら回収できない」などと発言してきた。

 

 株暴落に江派の影

今年6~7月の間、中国で株価暴落が起きてから、中国証券最大手の中信証券と証監会のスキャンダルが相次いだ。程博明総経理など11人の中信証券幹部がインサイダー疑惑で調査され、証監会も姚剛・副主席のほか張育軍・主席助理ら4人の幹部が調べられた。

中国メディアの報道によると、市場を救う役を担う中信証券と証監会主席補佐の張育軍氏は共同で「泥棒が他人を泥棒呼ばわり」する芝居を演じたという。一方、香港メディアは姚剛氏が海外と結託し、中国株市場の空売りに関わったと暴露した。

また、捕まった北京と上海の「虎」は株価の暴落と関連があり、北京、上海と寧夏の「虎」は江沢民一族、江派重鎮の曾慶紅一族と密接な関係を持つと言われる。

共産党の財政経済上層に近い情報筋によると、江沢民系の大企業がいずれも中国A株の空売りに加担し、江派の劉雲山・政治局常務委員の息子である劉楽飛・中信証券副理事長はそれを操る1人だという。さらにネットでは、江沢民と曾慶紅の家族も関連していると伝えられた。

海外のメディアによると、北京上層はすでに今回の株価暴落を「経済の政変」と見なしているという。

 江派核心に近づく

近頃、習近平当局の反腐敗の嵐は金融界を巻き込んでいる。海外メディアの報道によると、今まで少なくとも20人の証監会幹部と100人以上の証券会社の幹部が制限を受け出国できず、調査されるのを待っているという。また、今年第3ラウンドの中央巡視はすでに正式に起動し、巡視される31カ所のうち、中央銀行、証監会、中信グループなどの21社の金融部門が含まれる。

中国の金融業は長期にわたり江沢民グループに掌握されてきた。江沢民の古巣の上海は中国の金融センターとよばれる。当局による反腐敗の金融界への全面的な展開は、上海と江沢民利益グループが厳しく粛清され、江沢民や曾慶紅、劉雲山らの家族が真っ先にターゲットにされることを意味すると見られる。

時事評論家の謝天奇氏によると、江沢民は習近平当局にとって「虎退治」の究極のターゲットである。上海副市長の失脚は当局が上海を粛清する上でのシンボル的事件であり、江沢民を清算する行動の序曲だという。

(翻訳編集・金本)

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