韓国釜山港のコンテナ (Chung Sung-Jun/Getty Images)

韓中自由貿易協定 国会可決で年内発効か

韓国国会本会議は11月30日、韓中自由貿易協定FTA)の批准同意案を可決した。与野党と政府はFTA発効により競争が高まる農漁業への支援対策に合意し、韓中FTAは年内に発効する見通し。

習近平・中国国家主席と朴槿恵(パク・クネ)大統領が2014年11月、30カ月続いたFTA交渉の妥結を宣言、今年6月、両首脳はFTAに正式署名、韓国側では国会可決を待つのみとなっていた。

韓国政府と農村経済研究院の分析によれば、韓中FTA発効後、農林業と水産業は輸出額より輸入額のほうが増加するため、20年間の貿易収支は年平均でそれぞれマイナス77億ウォン(約8.16億円)、マイナス104億ウォン(約11.02億円)に達する。両産業の今後20年間の損出総額は3620億ウォン(年間平均181億ウォン=約19.19億円)に上る。

最大野党、新政治民主聯盟は、農漁業従事者に対する具体的補償案を示さなければ、協議をボイコットすると明言した。

こうしたなか、与野党と政府が11月26日から4日間集中協議した結果、民間・政府企業、農水産協同組合の自発的寄付金で毎年1000億ウォン(今後10年間で総額1兆ウォン=約1060億円)の財源を確保して農漁民への支援を実施、同寄付金が目標値を下回る場合、政府が不足分を用意するといった内容を盛り込んだ農漁業支援対策案で合意し、批准同意案は国会本会議で可決された。

協定が発効すれば、商品部門で中国は全体品目数の91%にあたる7428品目、韓国は同92%にあたる1万1272品目の関税が、20年以内で段階的に撤廃することになる。韓国の6割の農産品、キムチや加工食品も含めて、関税撤廃の対象外である。

韓国国内では、中国産食品に対する安全性強化方案がないなどの問題点を指摘する声が大勢だ。

一方、韓国政府がまとめた韓中FTAの経済効果は、発効1年目に輸出増加額は1.5兆ウォン(約1590億円)、発効後10年間で実質国内総生産(GDP)は0.96%増加、新たに5万3805人の雇用を創出できるという。

ゴム、プラスチック、繊維は関税撤廃の対象であるため、中国の低価格製品が韓国市場に大挙して進出することによって、中小企業中心の製造業は大きなダメージを受けると予想される。韓国国内からは、「製造業への補償が必要」「製造業は危機的状況に直面する」といった懸念の声が上がっている。

(翻訳編集・叶子)

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