国連報告書「中国で拷問・虐待は日常的」

国連拷問禁止委員会(以下、国連委員会)は9日に発表した報告書の中で、中国の警察と刑務所で拷問虐待が日常的に行われていると断定、即時の停止と、弁護士への不当な身柄拘束を中止するよう求めている。

国連委員会はこのほど、中国における拷問の実態について、2008年以来7年ぶりに2日間の公聴会を開いた。証人喚問で中国政府の代表は政治犯の拘束を否定するとともに、政府は拷問や虐待を禁止していると主張した。一方、海外のチベット人組織、法輪功(中国で禁止されている伝統気功団体)、亡命した反体制派といった団体や関係者は、まったくの嘘であると反論した。

国連委員会は、拷問、拘留中の死亡・行方不明、不当な逮捕などの発生を証明する「信頼性の高い報告」を多数入手したとしている。同委員会の専門家10人は中国政府に対し、一年後に拷問等禁止条約の実施状況を報告するように求めた。

中国外交部の華春瑩・報道官は9日の定例記者会見で、同国連報告書をまだ読んでいないとし、発言は差し控えると応対した。

ロンドンに本部を置くチベット人組織、フリーチベット・キャンペーンは9日付の声明で、中国政府はチベット人への拷問や虐待はでっちあげだとしているが、同国連委員会の調査報告は事実であることを証明した、とコメントした。

米ニューヨークに本部を置く国際人権NGO、ヒューマン・ライツ・ウォッチも9日に声明を発表、国連の第5回の調査報告によって、中国には拷問に対する責任追及がないこと、広範囲の司法改革により拷問を根絶する必要性があることは明らかだ、と強調した。

国連委員会はまた、中国で7月からはじまった弁護士の大量逮捕で、少なくとも25人以上がいまだに拘束されていると報告した。

12月10日の国際人権デーを前に、中国では弁護士39人と、拘束中の弁護士の家族25人が中国人民代表大会常務委員会及び張徳江・委員長、習近平・国家主席、国務院及び李克強・総理、最高検察院及び曹建明・検察長宛てに連名で陳情書を送った。その中で、中国公安・警察当局が連携して、弁護士や民間活動家を不法逮捕、秘密裏に拘束するなど公然と人権侵害を行っていると訴え、法を蹂躙し、中国の法治を妨げていると主張している。

(翻訳・桜井信一、編集・叶子)

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