中国外交部 日本教科書大幅削減に抗議、市民「先にワクチン問題を解決して」
中国外交部の華春瑩報道官は3月22日の記者会見で、高校生の歴史教科書の南京事件に関する内容を大幅に削減することについて言及し、日本政府に厳正な抗議をしたと述べた。華報道官は日本政府に対して正しい歴史観で若い世代を教育していくべきだと指摘した。
国内ニュースサイト「澎湃新聞」の中国版ミニブログ「微博」(ウェーボ)公式アカウントで報じた。しかし、国内では総額5億元(約86億円)以上の適切に保管されていないワクチン、子供用を含め200万本以上が、不法に流通している事件が発覚したばかりだ。政府当局の公表が遅れたのも原因の一つであるが、ネットユーザーの多くは日本の教科書問題よりも、「(政府が)話題を移そうとしている。ワクチン問題をちゃんと報道して」と反発している。
同サイトが微博で報じた記事に対して、多くのユーザーは「ワクチン問題により関心がある」、「私たちの問題を解決するべき時に、なぜまた歴史問題を思い出さなければならないのか」と書き込みをした。
河南省のある一人のネットユーザーは「もういいよ。彼達は私たちを殺そうとしていない。私たちはすでに自分たちを殺しているのではないか?このような時間があったら、毒ワクチンの流通や子供が使ったワクチンの種類、病院に有るワクチンの数量、今後どのように偽ワクチンを弁別するのか、などの問題を解決しろ」と怒りをぶちまけた。
また「今わかった。国内で何か重大事件が起きた時、必ず日本の教科書の削減問題が報じられる。今度日本に行ったら、教科書を何冊か買ってこよう。削減されたかどうかを確認したい」、「釣魚島のことや日本教科書の事などは(中国政府が)事前に準備したのではないかと疑問視している。必要な時にはすぐに報道できるようにと」、「私はすでにこのような時にきっと日本人が登場させられると思った」、「国内に毎回重大事件が起きるとき、必ず日本人に濡れ衣を着せる。彼達は歴史を削減するだけ、あなた(中国共産党)は歴史を改ざんしている」と日本に抗議する中国政府の意図を疑問視し、日本を擁護する声が多かった。
さらに、「以前あなたたちは、日本の教科書では南京虐殺を完全に否認していると言ったけど、今や大幅に削減していると言った。大幅に削減したとしたら、完全否認したわけではないじゃないか?あなたたちはいつも国民を玩んでいる。やっていることは当時の日本人より残酷だ。子供の命すら重視できない政府であれば、「中国夢」を口にする資格は全くない。夢にはPM2.5、環境汚染、毒のある食品と水、悪い教育がある。悪夢にしかならない」と痛烈に批判した人もいる。
一方、「あなたは何の資格を持って他人に正しい歴史観を持つべきだと要求するのか」、「私たちの歴史観は正しいか?子供が使用するワクチンの事ですらわかっていないのに、歴史観はなおさらダメではないか?」、「なぜ国民党が日本と戦った事実を加えないのか」、「今まで、国内の教科書には日本と戦った国民党政府に正しい評価を載せたことがないよね。このごろつき!」、「他人の教科書、他人の国政。あなたと何の関係もない!自分の事をまずはっきりして!私たちの最大の敵はアメリカでもないし、日本でもない」と大部分のネットユーザーは中国共産党に対して他国の内政を干渉しないで、まず改ざんされた自らの歴史問題を正しくするべきだと厳しく指摘した。
「60年代とその後の平和期に数千万人の国民が餓死した。あなたたち外交部は重視したか?ワクチンの問題にも関心を示したのか?」、「双鴨山の炭鉱労働者の賃金未払い問題。証拠がたくさんあるのに、省長さんが両会で賃金未払いは1件もないと話した時に、なぜ外交部は抗議してくれないのか?微博で多くの「敏感」な書き込みが削除された時、なぜ抗議してくれないのか?あなたたちが、文化大革命のことをきちんと説明した時、共産党と政府官僚を監督して批判する微博を削除しないようになってくれれば、あなたたちの抗議を支持しよう」、「日本人が殺した人がたくさんいるとしても、あの偉大な「指導者」達とその手下が殺した人の数の1桁に過ぎない」、「なぜまだ(中国共産党が)崩壊しないのか」と中国共産党政権に嫌悪感を持つコメントもあった。
政府批判など敏感な問題にネットの取り締まりが強化される中、意外にもほぼ政府批判となった今回の書き込みはまだ残されている。また、中国政府が後ろ盾となっている「五毛党」も今回、ほとんど書き込みをしていないようだ。一部のネットユーザーが「五毛党がストライキを行っているのだ」、「五毛党の子供もワクチンを打たなければならないのだから」と、政府擁護の書き込みをしなかった原因を推測した。
(翻訳編集・張哲)