墓地の高騰に青息吐息「生きるも難儀、死ぬも難儀」=中国

中国では「清明節」の4日前後はお墓参りのシーズンで、今年のこの時期に話題を独占したのは、墓地価格の高騰だった。上海の墓地の1平米当たりの単価は同市の分譲住宅の平米単価の4倍以上と、もはや庶民がおいそれと手の出せない域に達しようとしている。巷では「死ぬも難儀」との言葉があちこちで聞かれるほどだ。

中国の墓地の面積は一般的に1平米以下。中国メディアの報道によると、上海市内の高級霊園の墓地販売価格は29万元(約497万円)前後で、これは同市内の超高級高層分譲住宅「湯臣一品」の1平米当たりの単価17.7万元(約303万円)をはるかに上回っている。同市では、墓地の平均価格は9万元(約154万円)で、15年の新築住宅の平米単価の4倍強に相当する。最も低価格な霊園でさえ6万元(約103万円)と、上海の緊迫する墓地事情を如実に表している。

中国民政部が発表した「葬祭青書」によると、北京の霊園の場合、低価格層で4万元(約69万円)、中間層で7万元(約120万円)、高級霊園になると販売価格は数十万元に上る。

お墓参りといえば日本ではお盆の時期に行われることが多いが、中国では1年を24に分けた二十四節気の第五番目、「清明節」ごろに行われる。厳しい冬を乗り越えた墓の修復や清掃、草むしりなどを行った後、果物や地方色豊かな伝統料理を供え「紙銭」という「あの世で使われる紙幣」を燃やしたら、墓前での宴会がにぎやかに始まる。こうした情景は、さわやかな新緑の中、一族が集う姿がいかにも楽し気な中国の年中行事だが、インターネット上では住宅価格や墓地の高騰について「生きている間に家を買うのもままならないうえ、死んでも墓にも入れやしない」といったため息交じりの書き込みが増えている。

かねてから指摘されているように、地方政府は市民に等しく提供すべき公営墓地を「不」公営墓地として不当な利益を得ており、人の死を金儲けに利用していると批判の対象にもなっている。「死ぬも難儀」とは現代中国の一般市民の心境をよく表している。

(翻訳編集・桜井信一)

 

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