中国資本、海外ホテル投資ブーム
中国人の海外旅行者数の激増に伴って、中国人投資家による海外のホテルへの投資ブームが巻き起こっている。世界最大規模の事業用不動産サービス提供会社である米CBREグループによると、2012年から毎年、中国人投資家の投資額は倍に増え続け、今年9月までの同投資総額は、前年度の32億ドルの2倍強となる65億ドルに達した。
香港上海銀行は、24年には中国人の海外旅行者が2億4200万人に達する見込みと予測しているが、これは昨年の1億1600万人の約2倍に相当する。
過去12カ月で最も大きな不動産取引は、中国の安邦保险集团股份有限公司が14年10月に約19億5000万ドル(当時約2145億円)で買収した、ニューヨーク市マンハッタンに位置する高級ホテル、ウォルドルフ・アストリアと、今年初旬にホテル大手、上海錦江国際酒店(集団)が14億ユーロ(約1848億円)で買収した欧州第2位のホテルグループ、仏ルーブル・ホテルズ・グループ。
香港の英字新聞、南華早報(サウスチャイナ・モーニング・ポスト)は、世界各地で事業を展開する総合不動産サービス大手のジョーンズ ラング ラサール(本社・シカゴ)のアーロン・デサンジ上級副社長の話として「大量の中国資本が、ニューヨーク、東京、シドニー、ロンドンといった国際都市で投資のチャンスをうかがっている。ほとんどは不動産と建築業の大手民間グループ企業だが、中国の海外旅行市場にも関心を強めている。来年の中国投資家の海外投資額は、今年よりさらに53億ドル(約6410億円)増加する見込みだ」と伝えた。
中国人投資家の購買熱はホテル価格の上昇につながった。中国人に海外不動産情報とサービスを提供しているサイト「居外海外房産網(Juwai.com)」によると、米国内において、15年9月までに客室一室あたりの平均売却価格が過去最高の16万5303ドル(約2010万円)となり、14年の14万8658ドル(約1810万円)と比較すると、11%の増加となる。
中国人海外旅行客の今年1年の旅行消費額は2000億ドル(24兆3440億円)に達する見込みで、20年には4220億ドル(51兆3700億円)に届くと予測されている。
(翻訳編集・桜井信一、叶子)