「地獄に落ちそうだった」臨死体験を語る女性
「きれいな花畑が見えた」「たくさんの光を見た」など、臨死体験者の多くは穏やかで美しいイメージを語る。しかし、オランダ人のサーテジー・ゲーツさん(Saartjie Geurts)は、死の瞬間は恐ろしく、地獄に落ちそうだったと話す。
2003年、大学生だったゲーツさん(当時23歳)は、突然体調をくずし、授業を休んでいた。自宅のベッドで数日間寝ていたが、ある時、頭が急に重くなり、起き上がれなくなった。
突然、彼女の五感は非常に鋭敏になった。何色もの明るい色が見え、味覚が鋭敏になり、いろいろな音や匂いを感じ、パニックに陥った。花、高層ビル、山なども見えたという。
天上から自分の身体を眺めていると、目の前には生まれた時からの場面が写真をめくるように過ぎていき、人生の回想が始まった。この時、すでに彼女は恐怖の頂点にいた。
次の瞬間、非常に狭いトンネルにひきずりこまれると、彼女の目の前に現れたのは、数年前に亡くなった母親だった。彼女が母親を見つめていると、たくさんの手が伸びてきて、「お前は悪いことをした」という叫び声を上げながら、彼女を下へ引きずりおろそうとした。下にあるのは、「人々が地獄と呼ぶ場所だった」とゲーツさんは話す。
あまりの恐怖に泣き叫びながら目を覚ますと、そこには警察と医療スタッフがいた。彼女は一命を取り留めた。
ゲーツさんは心を落ち着かせると、自分の罪が一体何だったのかをすぐに悟った。それは、彼女が母親を見下していたことだったという。シングルマザーで、摂食障害を抱えていた母親に対し、ゲーツさんは幼いころから不満を抱いていた。たびたび母親に反抗し、冷たく接してきた。
今回の臨死体験で、彼女はもうひとつ学んだことがある。それは、嘘をついてはいけないこと、そして人を嫉妬してはいけないことだった。彼女はそれまでの人生で、姉妹たちに強い嫉妬心を抱いていたことを反省している。
彼女にとって臨死体験は、「自分がなぜ母親に対してあんなに冷たく接したのか、追及されているような感覚だった」と話している。
(翻訳編集・郭丹丹)