中国最高指導部の劉雲山氏に厳罰求める 副総理らが連署状で=香港誌
中国最高指導部メンバー、江沢民元国家主席の側近である劉雲山氏(69)に不利な情勢が強まっている。香港メディアはこのほど、馬凱・副総理を含む指導部高官5人が「劉が汚職、政治紀律・規則の厳重な違反を犯した」としてその責任追及と厳罰を求めていると報じた。
政論誌「争鳴」6月号が政権内部の情報として伝えたところによると、馬凱・副総理、孟建柱・中央政法委書記、郭金龍・北京市党委書記ら5人が中央政治局に連署状を送り、劉氏を停職にして諸容疑を調査・審議し、厳しい処罰を下すことを要請している。
記事には劉氏の容疑に関する具体的記述はなく、「非正常な組織の活動に参加した」と伝えるにとどまっている。どういう意味なのか、中国官製メディアが最近公表した習近平国家主席の内部談話にヒントがあった。
「党内には野心家、陰謀家がいる」「悪を取り除くには根こそぎにしなければ、チャンスがあればまだ捲土重来となる」などの習氏の含みある発言は、腐敗撲滅運動で劣勢に陥りながら習陣営から政治の主導権を取り戻そうとしている劉雲山ら江沢民派を指しているとの見方が多い。
大紀元本部のコラムニストは次のように分析している。
「習近平体制下で劉氏は習氏を陥れるための罠を仕掛けてきた。報道・宣伝機関を管轄する劉氏は一見、習近平氏への個人崇拝を促すプロパガンダを展開してきたが、実際の狙いは国民からの支持が低い左派のイメージを習氏に定着させて、最終的には不利な状況に追い込むという『高級黒(ほめ殺し)』の戦術を使っている。江沢民派のこの意図がわかっている習氏は2014年、掌握している中規委の傘下に「中規委宣伝部」を新設、プロパガンダ分野の劣勢を挽回しようとしている。
中国共産党専制政治の歴史を振り返てみると、武力を行使する軍と、世論を操縦する宣伝機関を支配できる側が政権の主導権を握るのが慣例だ。習・江両派の戦いにおいても例外ではない。習氏が、軍制服組トップで軍を実質支配していた江派メンバーの2人、徐才厚、郭伯雄を汚職容疑で取締り、軍の改革を実施するなど、軍の主導権を取り戻したとみられる中、今後、劉雲山からプロパガンダ機関の主導権を取り戻すのは必然的な流れだ」
同コラムニストは「双方の政治的戦いにおいて、習陣営は本物の情報を大量に国内外に流すことで世論を味方につけようとしている」と指摘、今回の香港メディアの報道に信ぴょう性があるとみている。
劉氏は中国共産党の最高意思決定機関「中央政治局常務委員会」の委員で宣伝機関を管轄する共産党中央精神文明建設指導委員会トップなどを務めている。
(翻訳編集・叶子)